キャンプブームで「山買う人」が急増! でも……プライベートキャンプのために山を買うと後悔する!
キャンプ愛が過熱し、他人に気兼ねなく自然と戯れようと自ら山のオーナーとなる熟練キャンパーが増えている。だが、自分だけの「秘密基地」を手に入れるのと引き換えに大きな代償も……。今回、過酷な現実をリポートする。
プライベートキャンプを夢見て山を買う人が急増している。空前のアウトドアブームの中、キャンプを愛好する芸人・ヒロシさんが山を購入したことが大きなニュースとなったが、コロナ禍で「3密」を避けるレジャーが人気となったことも強力な追い風になっているようだ。
山の売買仲介に16年間携わる山林バンクの辰己昌樹代表は、驚きを隠さない。
「キャンプ目的の山林購入の問い合わせは今年1月から激増し、8月には月500件を超えた。問い合わせの7割がキャンプ目的で、こんなことは初めてです。芸人さんが山を買ったことが報じられ、思いのほか山は安く手に入れられると、広く知れ渡ったことが大きな理由でしょう」
山林の価格相場は、1ヘクタール(約3000坪)=30万~80万円。宅地などに比べてケタ違いに安いため、中古車1台買える程度の予算があれば、憧れのプライベートキャンプ場が手に入るのだ。
埼玉県のユタカさん(35歳)は芸人ヒロシのYouTubeチャンネルを見て興味を持ち、キャンプを楽しむようになって2年。キャンプ熱が高じて、今年5月に埼玉県内に100坪の山を250万円で購入した。
「最近はブームの煽りで、どこのキャンプ場も大混雑。爆音で音楽をかけるようなマナーの悪い人も増えたので、自分だけのフィールドが欲しくて、山を買おうと決めたんです。ただ、最初に下見した物件は、挨拶回りで行ったお隣のおじいさんがいろいろ難癖をつけてきて……揉めそうなので諦めました。最終的に買った山は勾配が大きいのですが、建設関係の仕事をしており、重機を扱えたので自分で整地しています。山を買ったおかげで、4歳の子供が虫に触れるようになったのはよかった。想定外だったのは、土嚢6袋分(約120㎏)の廃材を不法投棄されたこと。道路に近いので狙われやすいんです。今後、厄介なゴミを山に置いていかれないか不安です」
近年、山の所有者が頭を悩ませているのが、産廃やゴミの不法投棄だ。森林ジャーナリストの田中淳夫氏は、山を買うことの「リスク」について警鐘を鳴らす。
「山を維持・管理するのは想像以上に手間がかかる。日本の山は放置するとアッという間に草が生い茂るが、草刈りしても1か月もすれば元に戻ってしまう。木の伐採中のチェーンソーの事故も多い。水の確保も大変で、沢があるからと勝手に水を引くと、地元の水利権を侵してトラブルになる。また、ヒルや虫は想像以上に多いし、最近はクマに襲われることも珍しくない。さらに、キャンパーが好む焚き火は山火事と勘違いされて通報されたり、近隣の人が怒鳴り込んでくることもあるので、事前に伝えておかなければいけません」
1haの相場は30万~80万円!山を買う“リスク”とは?
忘れがちな山を買うことの「リスク」
ハッシュタグ