このコロナ・ウイルスのパンデミックの最中、世界のエンタメ界において、最も恩恵を受けたものの一つがKドラマだったように思う。映画館も閉鎖されたなか、家でネットフリックスを観て退屈しのぎをした人も少なくないが、そこで大ヒットしたのがネットフリックスのKドラマ『愛の不時着』と『梨泰院クラス』だった。
前回の
Kポップに引き続き、今回はKドラマを紹介しよう。『
愛の不時着』と『
梨泰院クラス』、この両ドラマはパンデミックがピークに達した3月から6月にかけて、日本国内の
ネットフリックスのチャートの1、2位を長期に渡って独占した。
ちょうどそのころに、アメリカのネットフリックス制作のオリジナル・ドマラでめぼしいものがなかったこともあるが、そうした追い風以前に、この両ドラマには
昨今のKドラマの目覚ましい進化の成果が詰め込まれており、きっかけさえあればいつでも爆発できる状態にあったといえる。
その変化とはなにか。ズバリ、
韓国国内で起こっていたテレビの構造変革だ。
韓国では2000年代の後半から、これまでの
KBS、
MBC、
SBSの民放3局体制から、ドラマ政策をはじめる
ケーブル局の市場参入で競争が煽られた。そこで台頭してきたケーブル局が
tvNと
JTBCだった。この2局が、
若者のライフスタイルを題材とし、映画の手法を大胆に取り入れた撮影法などで、これまでの
Kドラマに新風を巻き起こし、これまでどちらかというと
高齢者向きだった韓国のドラマを変えた。
そして、2010年代後半から、韓国ドラマ界は
ネットフリックスに目をつけた。しかも、そのやり方が大胆だ。彼らは、「韓国で全話を放送し終わったら配信」という手法ではなく、「
本国での放送が1回終わるごとに即座にネットフリックスで世界配信」という手法をとったのだ。
そして、その「毎週、即座に世界配信」を主に行っているのがtvNとJTBCだった。『
愛の不時着』(tvN)、『
梨泰院クラス』(JTBC)の世界的ヒットはこうした流れの矢先に起こったものだ。
こうした現在のKドラマの潮流をとらえるために、『不時着』や『梨泰院』を観るのは当然おすすめではある。だが、
Kドラマは1話の放送時間が70~80分と長く、放送回数も殆どの場合16話と多く、時間にゆとりがないと面倒なものではある。そこで、まずはネットフリックスで現在放送、もしくはこれから放送するものを追ってみてはいかがだろうか。