10億円の日本学術会議は「行革対象」で、1兆円の辺野古埋め立ては聖域扱い
河野太郎行革担当大臣
日本学術会議問題で「異論排除で国策ゴリ押し」の姿勢が露わになった菅義偉首相が、新内閣で “行政改革の斬り込み隊長役”として抜擢したのが河野太郎行革担当大臣(沖縄・北方領土担当も兼務)だ。9月16日の政権発足直後に菅首相は
「河野には、俺がやりたいことをやってもらおうと思う」「俺はつくる。ぶち壊すのは河野にやってもらう」と強調した。
すると、懐刀として期待された河野大臣はすぐに動き出した。10月9日の会見で、学者6名の任命が拒否された日本学術会議を行革対象にすることを表明。
「どれくらいサポートする事務局の人員が必要なのか見ていく」などと述べて、予算や人員の妥当性を検証する考えを明らかにした。
しかし、河野大臣は年間予算が約10億円の日本学術会議を「聖域なく見ていく」と強調する一方で、1兆円の浪費リスクのある「辺野古新基地移設(埋め立て)事業」を聖域扱いにしている。
河野大臣は9月19日の沖縄訪問で玉城デニー知事から「辺野古新基地埋立(移設)の断念」を含む要望書を受け取ったというのに、面談でも会見でもそのことには一言も触れなかったのだ。
河野大臣は、無言のままエレベーターに乗り込んだ
会見終了直後に
「大臣、辺野古の見直しについて一言。『地震で壊れる欠陥基地』と言われていますが、行革の対象外なのか。国策はそのまま進めるのか」と聞いても、無言のままエレベーターに乗り込んだのだ(10月8日の筆者記事
「菅首相・河野大臣を直撃。『異論を排して国策を強行する』姿があらわに」参照)。
総事業費が約1兆円(沖縄県の試算では2兆5500億円)の辺野古埋め立て計画は、
軟弱地盤が見つかって「地震で護岸が壊れるリスクがある」と専門家が警告。欠陥基地建設のために税金をドブに捨てることになる恐れがあるのだ。
国策に異論を唱える日本学術会議にはメスを入れるが、菅首相がゴリ押しする国策の無駄遣いには目をつぶる河野大臣は
「権力迎合型の非合理主義者」と呼ぶのがぴったりなのではないか。