人為的に進む温暖化。止めるカギは、土壌と樹木を大切にすることにあった

野菜を育てることで、大気中の二酸化炭素を減らせる

家庭菜園イメージ それから、野菜を育てるのはどうだろう。野菜もまた、大気中の二酸化炭素を減らし、土壌中の微生物を通じて炭素を土に蓄積させていく。さらには土に「炭」を通じて直接含ませてみてはどうだろう。「バイオチャー(※)の作り方」などで、その作り方はたくさんYouTubeなどに上がっている。 (※)農業廃棄物、木材廃棄物、森林廃棄物、動物の糞尿などの廃棄物の、制御された加熱によって得られる木炭。土壌改良などに使用される。  私たち人間自体が微生物から進化してきたように、そこには無理のないつながりがある。農薬を使えば微生物も殺してしまう。化学肥料を使えば植物と微生物のつながりを妨げる。  人体もそうだ。生物の定理の一つに、「個体発生は系統発生を繰り返す」とする説がある。私たちが生まれてくるまでに、母体の中で魚のようになったりネズミのようであったりするのは、私たちヒトの「進化の歴史」を繰り返しているからだ。その中の一時期の生物に農薬が害を及ぼすなら、母体の中のその時点の生物にも影響を及ぼすのだ。  そう考えると、私たちのしていることは意外と罪深い。毎日食べているものの中に「系統発生する生物」に害になるものはないのか。薬品は、飲み物は? 添加物や着色料、芳香剤や洗剤にも害があるのではないか。 ミツバチイメージ 中でも「人間に対しては毒性が少ない」と訴えて、1990年頃から使われ始めたネオニコチノイド農薬の被害は深刻だ。世界中でミツバチを殺して受粉できなくさせたことが有名だが、人間に対しても多くの被害を与え、宍道湖のウナギを絶滅近くまで減らしてしまった。  しかもこの農薬は水溶性だから、最終的には必ず水に流れ出る。海に流れ出たネオニコチノイドが、エビやカキにも影響していることまで明らかになっている。こうして生き物の生命を奪うことは簡単だが、それが何に役立っているのかはほとんど何も知らない。

「全海洋蒸発」「全地球凍結」という、地球の大胆な変動があった!?

二酸化炭素に囲まれた地球 ちょっと地球レベルでの歴史を遡ってみよう。地球はほぼ46億年前に誕生した。そこに生命たる微生物が誕生したのはそれから6億年も後、38億年前のことだった。それまで6億年も生命は存在しなかったのだから、よほど奇跡的なことが起きたに違いない。  その後、地球には「全地球凍結」というすべて凍りつく事態があったり、海洋がすべて干上がったりしたこともあった。この「全海洋蒸発」は巨大隕石が衝突した際に薄皮である地球の地殻がめくれ上がり、その下の高熱のマントルによって「地殻津波」が起こって、それが海洋の水分をすべて蒸発させたらしい。  およそ40億年前の生命誕生以前の原始地球に起きたと考えられている。生物が生まれたのはその後だ。その後も巨大ではない隕石の衝突は起きている。たとえば恐竜を絶滅させたのは隕石の衝突による寒冷化と言われるが、生命すべてが滅んだわけではない。 氷の地球イメージ そして「全地球凍結」が、約24億5000万年前から約22億年前の氷河時代の最終期と、原生代末期の2つの氷河時代(約7億3000万年前~約6億3500万年前)に起きたとの説がある。地球表面全体が凍結するほどの激しい氷河時代が存在したと考えられている。  これは「スノーボールアース」と呼ばれている。その説が出てくるまでは、そんなことは一度もなかったものと考えられていた。灼熱の海洋蒸発状態から徐々に冷えて、温暖な気候の時期と、寒冷な気候の時期、いわゆる氷河時代を経ながら現在に至っていて、この間に地球全体が赤道に至るまで完全に凍結したことは、一度もなかったと考えられてきた。  ところが地球にはもっと大胆な変動が起きていたようなのだ。もし「地球全体が凍結」したならば、地表はすべて白い氷雪で覆われてしまい、太陽光エネルギーの大半を宇宙空間へ反射してしまって、再び暖かくなることはないと考えられてきた。すると今の私たちなど存在できないものと考えられてきたのだ。  地表温度は、太陽光線が当たって温められる一方で、宇宙空間へ熱エネルギーを放射して冷えるという「受け取るエネルギーと宇宙空間へ放散されてゆくエネルギー」のバランスで決まる。放散される熱エネルギーが温室効果ガスに邪魔されたり、邪魔するものが少なくなりすぎたりすれば、地球自体の地表温度が変わるのだ。 「全球凍結」の状態は、海が凍りついて二酸化炭素をほとんど吸収できず、火山から放出された二酸化炭素が大気中に蓄積した。このため、二酸化炭素の濃度は約2000年間かけて最終的に現在の400倍程度に達したと考えられ、それによって凍結状態を脱したと考えられている。
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陸地はまだまだ二酸化炭素を吸収できる
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