二酸化炭素のことだけを考えていくと、こんな帰結になってしまう。もちろんその努力も必要だし、無駄なことではないかもしれない。しかし動く気がしなくなるのも事実だ。そこで、なるべく早い時点でも解決に向けて必要なことをしたいと思うのだ。
第一には、私たちが二酸化炭素排出に関わってしまっていることからの離脱だ。生活の中で電気を膨大に消費していないか、車を通じてガソリンを消費しすぎていないかと点検してみる。地球の中で、森林や大地、海洋の生物たちが二酸化炭素を吸い取ってくれている。
その吸収量を考えれば、
私たち一般家庭が地球温暖化を起こさないレベルにするためには平均消費量の45%を減らせばいい。具体的には標準的な消費から、家電製品を省エネなものに変え、燃費の良いクルマに乗り換えることで達成できる。こうしたように、家庭の部分だけなら個人が解決するのは困難ではないだろう。
さらに、都会では公共交通機関が発達しているから、それをなるべく用いるようにすればいい。さらに住居にも家具にもなるべく木材製品を用いて、長く使うならさらに減らせる。しかしそれは排出を減らす努力であって、二酸化炭素の吸収に直接関わることではない。
海の中よりも森林のほうが、効率的に炭素を蓄積できる
なんとか二酸化炭素の吸収に直接関わることはできないだろうか。そこで再び歴史を遡って、何が二酸化炭素の吸収に大きな役割を果たしたのかを調べてみた。
海洋中のサンゴ礁のようなストロマトライトが、シアノバクテリアとともに大気中の二酸化炭素を減らして酸素を増加させた。しかし圧倒的に大気中の酸素を増やしたのは森林だった。海中の炭素を減らしても、それが海中で滅びるときに炭素を使ってしまう。
ところが陸上では滅びて炭素を蓄積しても、土中に蓄積されてすぐには分解されない。その結果、森林の土壌には森林本体の5倍の炭素が蓄積されるようになった。
海の中より陸上の森林の方が多くの炭素を効率的に蓄積できるのだ。
そこでお勧めしたいのが、
森林の手入れだ。樹木は言うまでもなく二酸化炭素を吸収して育っていく。それを健全に育てていけば、
土壌は樹木の5倍も二酸化炭素を貯蔵してくれる。それらの土壌や樹木に吸収してもらうことは、大気中の二酸化炭素をそれだけ減らすことになる。