菅政権による日本学術会議への人事介入は近代社会の破壊行為。著述家が官邸前で単身抗議のハンストを始めたワケ

官邸前で抗議のハンストを行う著述家の菅野完氏

官邸前で抗議のハンストを行う著述家の菅野完氏

ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は共産主義者ではなかったから 社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった 私は社会民主主義者ではなかったから 彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は労働組合員ではなかったから そして、彼らが私を攻撃したとき 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった“ (反ナチス運動で知られるマルティン・ニーメラーの言葉として有名な「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」。Wikipediaより)

始まった菅政権の言論弾圧

 10月1日に「しんぶん赤旗」が報じた、菅政権による日本学術会議の人事介入。  「学問の自由」の危機と報じるメディアも少なくないが、ことはもっと重大で深刻な問題である。 「これほど直球のファシズムはない。既存の法やこれまでの国会答弁に違反する明確な違法行為であると同時に、「学問の自由」「思想信条の自由」「言論の自由」などの、近代を形成する諸原則を踏み躙る、極めて野蛮かつ危険な行為であり、近代国家に対するテロリズムとさえ言えます」  そう語るのは、本サイトで「草の根保守の蠢動」を連載していた『日本会議の研究』著者である著述家の菅野完氏。  彼は、この報道のあと、10月2日19時から、官邸前にて「ハンガーストライキ」を行うことを決断し、1人、首相官邸前に座り、抗議活動を始めた。  彼はなぜハンガーストライキに入ったのか? その理由を直撃した。

日本学術会議への人事介入に抗議する

「菅は羈束(=行政の自由裁量が認められない)行為とされていた学術会議の任免権を勝手に裁量行為としました。これは明確な違法行為です。そして金曜日に行われた野党合同ヒアリングでの内閣法制局の返答をみると、どうやら、違法であることを知りながら今回の人事介入を行っているようです。つまり、菅政権は、違法上等で『学問の自由』『思想信条の自由』『言論の自由』などの、近代を形成する諸原則を踏み躙る、極めて野蛮かつ危険な行為に出たわけです。これは到底看過しえません。」  菅野氏は、この菅政権による暴挙を「第二の滝川事件」だと指摘する。 「滝川事件」とは、1933年に京都帝国大学(現京都大学)の教授である刑法学者の滝川幸辰の講演や著作を「危険思想」だとして、当時の文部大臣である鳩山一郎が京大総長に辞職勧告を行うように命じ、京大がそれに従ってしまったことに端を発する思想弾圧のことだ。 「中学の歴史の授業で習ったはずの滝川事件の名前を聞いてもピンとこない残念な人に向けて説明するなら、『菅義偉のやっていることは、北京の中共政府が、香港の言論人や香港の大学人に対して行っている弾圧や、チベット、ウイグル、内モンゴルなどで行っている中共政府の暴虐と、本質的になんらかわらない』ということです」  今回の事件を、政権による弾圧事件と規定する菅野氏は、こう言葉をつないだ。 「安倍政権の誕生から7年半、我々は、さまざまな場所で、政権による弾圧を目撃してきました。おそらく私もその最初期事例の被害者の一人でしょう。あの時、私や私の仲間や私と同じような立場の人々が被った弾圧を、弾圧だと見抜ける人は多くありませんでした。また、弾圧だと見抜けた人でも、その弾圧と戦おうとする人は多くありませんでした。『あのタイミングで、弾圧を放置したから、日本学術会議の人事に政権が介入するなどという野蛮な行為が当然のように行われる社会になってしまったのだ』としか言いようがありません。事態は、ニーメラーの格言通りに動いている」
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「声をあげる者が誰一人残っていない」未来が来る
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