つまり、目標達成の人だけでなく、
どのモチベーションファクターの人であっても業績伸展に貢献するのだ。
そして問題は、
一般的に同じモチベーションファクターの人同士は気心が知れやすく、コミュニケーションがしやすいということだ。言い換えれば、モチベーションファクターが異なると、特に
牽引志向と調和志向で異なると、話が噛み合わないことが多くなる。「
波長がすれている」「
ケミストリーが生まれない」と言われるが、つきつめれば
モチベーションファクターの不一致が問題なのだ。
日本のビジネスパーソンは牽引志向と調和志向と半々だ。
ベンチャー企業はT社のように牽引志向が強い人が多く、業種にもよるが
企業規模が大きくなるにつれて、調和志向の割合が高まる。
業績伸展のために良かれと思って牽引志向の人を集めて営業組織を構築してきたが、T社の場合は結果的にはそれがあだになって、
調和志向の割合が大きい大企業ととの取引拡充が思うように進まず、結果として業績伸展ができなかったのだ。持続的成長を遂げている企業のモチベーションファクターは、牽引志向と調和志向のバランスがとれているのだ。
牽引志向が高すぎると思ったら、同じ資質・能力の人であれば、調和志向の人を採用することもひとつの方法だ。牽引志向の人が、自分とは異なるモチベーションファクターの人を巻き込むための
異なるモチベーションファクターをつなぐブリッジを設定して、動機づけやプロセス設定をする方法もある。
メンバーも顧客も価値観が多様化する今日、
多様なモチベーションファクターに対応できる体制を整えておくことが取引先拡充、ひいては業績伸展に不可欠なのだ。
質問:ビジネスに貢献するのは目標達成の人か
モチベーションファクターの2志向・6要素のうち、業績を上げ、ビジネス伸展に最も貢献するのはどのモチベーションファクターの人でしょうか? 牽引志向で目標達成の要素を持った人でしょうか?
回答:いずれのモチベーションファクターの人もビジネスに貢献する
モチベーションファクターの違いは、良し悪しを示すものではありません。例えば、業績を上げることを考えた場合でも、以下のとおり、モチベーションファクターの6要素のいずれを発揮しても、業績を上げることができるのです。業績を上げるために、
人それぞれが持つモチベーションファクターをどう高めるかという観点で活用していくことをお勧めします。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第209回】
<取材・文/山口博>