モーレツ型エリートだけでは成長は失速する。壁にぶち当たった急成長ベンチャーが陥っていた人事の盲点

 ベンチャーから急成長したIT企業T社から相談を受けた。中小・中堅企業が多い取引先を、大企業にも広げていくためにさまざまな取り組みをしているのだが、なかなか前に進まないというのだ。

大企業に取引先が広がらない原因とは

株価のイメージ画像

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 筆者が営業部長20人と演習していて興味深いことがわかった。目標達成すること、自律裁量で取り組むこと、地位権限を高めたり広げることでモチベーションを高める「牽引志向」の人の割合が、実に80%に上っていたのだ。他者協調安定保障公私調和に意欲を高める「調和志向」の人はわずか20%にとどまっていた。  日本のビジネスパーソンのモチベーションファクター(意欲を高める要素)は牽引志向51.4%、調和志向48.6%と半々なので、牽引志向8割というのは、相当に高い割合だ。同社では取引先を拡充し、業績伸展をさらに加速させるために、牽引志向の高い人を営業部長にしているという話だった。  目標達成で意欲が高まるなど、牽引志向の高い人に営業活動を担ってもらうことは、一見すると業績伸展に直結しそうだ。しかし、私にはそのことが取引先拡充、ひいては業績伸展に掉さしているように思えてならなかった。

業績伸展を担うのはどんな人物?

 業績伸展の担い手は、目標達成の人だけだろうか。業績伸展の担い手は、どのモチベーションファクターの人だろうか。このように質問すると、目標達成のモチベーションファクターの人だという答えが返ってくる。  しかし、私はこの考え方が間違いで、だから取引先拡充ができないのだと言いたい。  公私調和のモチベーションファクターの人は、公私に限らず、さまざまな仕事のバランスをとることでモチベーションを上げる。さまざまな仕事の調整をすることも、業績伸展に役に立つ。  安定保障の人がリスクを回避したり、安定的にプロセスを進捗させることも業績伸展に必要だ。他者協調の人がチームで連携することも、もちろん役に立つ。  一方、周囲と連携しないで、独自のアイデアで取り組むことでモチベーションを上げる自律裁量の人の創意工夫も、業績向上に必要だ。地位権限をはげみにして業績向上に取り組む人も、目標の進捗状況を把握しながら取り組む目標達成の人も、もちろん業績伸展に貢献する。
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多様化社会はモチベーションにも影響する
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