全国各地を巡る旅慣れたトラックドライバーは、なぜ「各地方の名店」を教えられないのか

全国の風光明媚な観光地を通るドライバーといえど、名店を把握しているわけではない

「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。  前回までは、人権なきショートキャブのトラックについて紹介してきたが、今回は、トラックドライバーによく寄せられる「日本の名店を紹介してください」という要望に、彼らが応じられない理由を紹介したい。

トラックドライバーによく寄せられる要望

 日本各地を走る長距離トラックドライバーには、非常によく寄せられる要望がある。  それは、 「日本全国で名店だと思う食堂を教えてください」 というものだ。  筆者もこれまで多くのメディアから「トラックドライバーが選ぶ名店トップ10という企画をやりたい」といった類の相談を何度も持ち掛けられてきたのだが、その度に「難しいと思いますよ」という、事情を知らない相手にとってはなんとも「釣れない答え」を出し続けてきた。  最近もある媒体から同じような企画協力の依頼があり、Twitterで現役トラックドライバーたちにダメ元で意見を求めてみたところ、写真付きで答えてくれたドライバーも一部いたのだが、以前当サイトでも紹介した「トラック飯」という固有名詞が存在するほど「食」にこだわりがある人の多いトラックドライバーの特性に鑑みると、やはりその割合は少なく、多くが同じような「釣れない答え」に終わった。

なぜ全国各地を回ってても答えられないのか?

 なぜ彼らが各地の名店を答えられないのか。  それには以下2つの理由がある。 1.停める場所がない  彼ら長距離トラックドライバーが名店を紹介できない1つの要因は、その「車体の大きさ」にある。  「長距離輸送」は、運送コストの面からできるだけ多くの荷物を一度に運ぶ必要がある。さすれば必然的にトラックの種類は、輸送能力の高い「大型車」ないし「中型車」がデフォルトになるのだが、これらのトラックにおいては、全国的かつ慢性的に「駐車場」が不足しており、ドライバーは食事の際はおろか、荷主先への時間調整時やトイレに行きたい時すらもトラックをなかなか停められずにいるのが現状なのだ。  「名店」に大型車専用駐車枠があることは非常に稀だし、普通車のようにコインパーキングに停められるわけでもない。  そのため、はるばる東北から広島に配達し、せっかくだからと「お好み焼きの名店」にふらっと立ち寄る、ということは非常に難しい。  つまり、トラックドライバーだからといって、名店の名を数多くポンポン挙げられるわけではないのだ。  これを裏付けるように、一部のドライバーたちが紹介してくれる「名店」や「ご当地料理」のほとんどは、大型トラックでも安心して長時間停車できるサービスエリアかパーキングエリア道の駅内にあるレストランの定食で、中には同じような理由から「ドライバーにとっての名店はセブンイレブンかファミリーマート」、「コンビニのパスタを車内で食べるのが一番。時間も路駐違反も気にせず安心して食べられる」などと皮肉に答える人もいる。  彼らが名店に足を運ぶのには、まず「駐車場問題」という関門を突破しなければならないのである。
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答えられないもう一つの理由は??
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