失敗事例から読み解く、中高年転職で失敗しやすい人の3つの特徴
コロナ禍により多くの企業や事業者が打撃を受け、同時に働き方も見直されるなか、転職を考え始める中年が増加しているという。そして中高年の転職市場そのものにもあらゆる要因でパラダイムシフトが起きており、従来とは違う方法が求められている。そんな中、様々な原因で転職に失敗してしまった人々を取材した。
チャンスの少なくない中高年転職市場。だが希望通りにいかず、若手が転職するのとは違う苦しみから失敗するケースが後を絶たない。松永智さん(仮名・44歳)は転職で年収がかなり減ったことを「大失敗だった」と感じている。中小企業の人事担当だった前職の年収は500万円だったが、ウェブメディア運営会社の営業職に転職した現職は360万円まで下がった。
「年収も頭打ちだったので、40歳のときに転職を決意。ここを逃したら他にないと思って転職先の選択肢を狭めたのが今でも悔やまれます。自分は独身ですが、さすがに生活が厳しい」
しかし、根本的な問題は「もし心底やりたい仕事であればもう少し我慢できたかもしれない」という点だ。必ずしも収入増に繋がらない中高年転職で、最も大事なのは「やりがい」なのかもしれない。
また、介護関連出版社に最近転職した佐藤孝則さん(仮名・43歳)は、年収こそ500万円台と維持できたものの「まさかこの年齢で若手扱いされるとは……」とため息まじりに話す。
「僕と入れ替わりに辞めた事務の女性が34歳だったこともあり、働かない謎の60代だらけの職場で、僕だけが必死に働くハメに。医療系の書籍やテストツールを販売する会社で業界とも結びつきが強いので潰れる心配は今のところなさそうですが……実質的には爺さんの世話ですね。もっと転職先の下調べをしておけばよかった」
そして、中高年ともなると転職を希望しても、なかなか思い通りにはいかない。田中亮司さん(仮名・46歳)は妻の反対、いわゆる「嫁ブロック」により難航している。中学生と小学生の子供がいることもあってか、妻が現職よりも年収が下がる仕事に就くことを猛烈に嫌がり、せっかく内定しても辞退させられてしまうのだという。
「それで一度、妻ととことん話し合うと、自分のパートは給料が下がらないのにあなただけ下がるのは不公平だ、私への圧力と同じだとまくし立てられました」
転職エージェントからも呆れられており、前途は多難だ。
田中さんはそんな自分を「争いごとを回避できるので調停役に向いている」と評価しているが、単なる気弱な男性であることに気づけなければ転職成功はほど遠い。
家族というしがらみもある人が多い中高年転職。やり直しが難しいだけに、焦らず情報収集や自己分析、根回しなどを万全にしてから臨むのが大切だ。
こだわりの強さ、年収減……中年転職の敗因それぞれ
家族がしがらみになるケースも
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