コロナ禍により経営が圧迫される状況のなか、追い打ちをかけるような「凱旋」撤去問題。貧すれば鈍する。窮地に立たされたパチンコ店が、21世紀会の取り決めに従わない可能性は否定出来ない。
様々な障害が予想される「凱旋」撤去問題を前にして、パチンコ業界団体側はあらゆる手を講じて「不届き者」が出ないようその包囲網を狭めている。
パチンコ店が属するホール関連の5つの団体では、足並みを揃え、「凱旋」の撤去を含む21世紀会の取り決めに反したパチンコ店は「組合員・会員の資格を停止する」旨のルール変更を行った。
また遊技機メーカー各社は、21世紀会の取り決めに従わないパチンコ店に関しては、遊技機の売買や故障部品の供給等のスキームにおいてパチンコ店にとって不都合が生じる可能性がある旨の声明を発している。
また業界内における遊技機改造等の内部不正を監視する第三者機関である遊技産業健全化推進機構も、抜き打ちの立ち入り検査の際に設置期限を超えて設置されている遊技機を発見した場合は、業界団体及び警察行政に通報する旨を表明している。
パチンコ業界すべての分野を包括し業界唯一の横断的組織と言われる日本遊技関連事業協会の西村拓郎会長は、24日の臨時社員総会の場において、「高射幸性遊技機(※凱旋等の旧規則機)を撤去しない行為は、行政のご理解とご協力を求めながら、健全で明るいパチンコ業界作りに一所懸命努めている業界人にとって、業界の足並みを乱し、業界の未来を閉ざしかねない『迷惑行為』であると言わざるを得ません」と明言した。
ここまで露骨に批難し牽制する発言は異例と言ってもいい。それほどまでに業界団体側は危機感と緊張感を持っている。
「凱旋」を撤去しない、または撤去出来ない、パチンコ店側の事情や言い分もある。それはまた別の機会にまとめてみたい。
業界団体の「凱旋」包囲網は功を奏するのか。
それとも取り決めに従わない一部のパチンコ店が網の目をかいくぐるのか。さて-ー
<取材・文/安達夕>