2回の答弁を聞いても根拠は全く分からないため、井上さくら市議は質問の仕方を少し変えて、林市長の発言の根拠を探る。その質疑は以下の通り。
井上さくら市議:「まあ、少し分けてお聞きしますと、その、今、IRという中の中核部分であるカジノですね、カジノに関しては特に三密の典型ではないかとか。それから世界的にも、えー、なかなかまだ復活できないという状況があると思いますけども、この、まあ、世界的なパンデミックを経験した後にもですね、そのカジノの収益で大規模施設を支えなければいけない。その柱になるということは、その柱たりえるか、と。このことについては、どう分析しているんでしょうか。」
林文子市長:「
えー、これはですね、IRの、こういう、まあ、あのー、持続させることは基本的にはカジノの収益ですね、えー、そのー、施設の維持であるとか、新しいコンテンツの導入であるとか、えー、そういうことを必ずやっていかなければならないわけで、同じことを繰り返して、えー、施設内でやっていくことはできないですね。当たり前ですけど。(
赤信号)
例えば、これはカジノではございませんけど、今、大変、あのー、オリエンタルランドさんも厳しいんですけども、常にプログラムを変えて、定期的に投資をしていくという中でやっていて、(
赤信号)
特に、このー、統合型リゾートというのは大変大規模なものでもありますし。非常に、あのー、施設自体が国際会議であるとか、ホテルであるとか、もう本当に、もう、超一流のものを狙ってやるということで、当然ながら最初の投資も高いし、維持も大変です。そういうもので、カジノというものを、そのー、入れて、えー、回していくことが非常に、えー、重要だということで、えー、当然ながら、(
赤信号)
えーっと、この、当然、コロナというのが、あのー、未曾有のこういう状況があって、当然ながら事業者もですね、アフターコロナということで、コロナ後にどういう風にこういうエンターテイメント、統合型リゾートというものを、えー、持続させていくのかという新しい考え方の中で、えー、またご提案も頂けるでしょうし、我々もそういうことを考えているということでございます。(
赤信号)」
井上さくら市議:「まあ、ちっともですね、その、起爆剤だと言ってきたことの根拠というものは聞こえてこないわけですね。」
1段落目と3〜4段落目は以下のように論点をすり替えており、
赤信号とした。
1段落目
【質問】コロナ後にカジノ収益でIRを持続できる根拠
↓ すり替え
【回答】コンテンツ入れ替えによるIRの持続
3段落目
【質問】コロナ後にカジノ収益でIRを持続できる根拠
↓ すり替え
【回答】IR持続の大変さ
4段落目
【質問】コロナ後にカジノ収益でIRを持続できる根拠
↓ すり替え
【回答】コロナ後の事業者の提案
また、2段落目に至っては、オリエンタルランドのプログラム入れ替えという全く質問と無関係な内容のため、これも
赤信号とした。
井上さくら市議も最後に指摘している通り、
何度質問しても「IRがコロナ収束後の起爆剤になる」という林市長の発言の具体的な根拠は出てこない。
最後に、わずか13%の回答(
青信号)で林市長は何を語っていたのかに着目したい。計3回出てきた回答(
青信号)の内容を要約して抜粋すると以下のようになる。
「
コロナが収束すれば、私は必ず、横浜経済を回復させる引き金になっていく大変良いツールである考え、起爆剤だという風に申し上げました。」(1問目 回答より)
「
国がナショナルプロジェクトとして支援して頂いている。」(2問目 回答より)
「
私は観光的に多くの集客ができるという意味ではIRが有力であると考えている。」(2問目 回答より)
「経済を回復させる引き金になる」と言うが、
その理由は一言も出てこない。「国が支援している」とか「観光的に多くの集客ができる」とか言うが、どれもIRでなくても当てはまる。逆に言えば、「IRがコロナ収束後の起爆剤になる根拠は無い」ということを林市長はこれらの答弁を通して、自白しているに等しい。
<文・図版作成/犬飼淳>