パンデミック本番、「秋の波」に見舞われる世界。世界の研究機関でコロナ第2波はどう報告されているか?

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fernando zhiminaicela via Pixabay

新型コロナウィルス感染症本邦上陸から9ヶ月目

 現在世界は、COVID-19(新型コロナウィルス感染症)により、大多数の国が深刻な状況にあります。本邦では、厚生労働省2020/01/16発表*が第一例ですが、本稿執筆時点(2020/09/17)で第一例が確認されてから9ヶ月目に入っています。 〈*新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目) 2020/01/16厚生労働省:中国武漢市からの1/6の帰国者が同日受診、14日に保健所へ報告、15日に国立感染症研究所で新型コロナウィルス感染症と確認。本人は、1/3に発症、1/6帰国・受診、1/10入院、1/15退院〉  当時、本邦では軽視されていた新型コロナウィルス感染症ですが、わずか3ヶ月後には1918年のスペイン風邪パンデミックから82年ぶりの全地球規模の大規模パンデミックとなり、全人類が深刻な危機にさらされています。  本邦においては、日本政府の徹底した無為無策により既に全国津々浦々までパンデミックが広がっていますが、原因不明ながら幸いにしてカンボジア・モンゴル以東の東部アジア・大洋州ではパンデミックによる死者が米欧先進諸国の約1/100に過ぎないという「謎々効果」*によって第一波パンデミックによる死者数は最悪想定42万人**の1/500程度で済んでいます。 〈*カンボジア、中国、モンゴル以東の東部アジア、大洋州諸国ではCOVID-19パンデミックの威力(死者、感染者数等)が他地域の1/100程度と特異的な挙動を示している。このことは3月頃から指摘され始め、4月末にはその特異性について概ね合意が得られている。これを筆者は「謎々効果」と呼称してきている。ほかに”Factor X”などと呼称されている。なお当初壊滅的な打撃が予想されていたアフリカ大陸でも東部アジア・大洋州ほどではないが、冬を越してなお原因不明の感染・犠牲の少なさを示している〉 〈**行動制限なしなら42万人死亡 クラスター班の教授試算2020/04/15 朝日新聞〉  但し、この最悪想定42万人を報じた記事にはミスリーディングがあります。この記事見出しの42万人の犠牲は、「行動制限なしなら」という前提があり、行動制限を行えば大幅に(合衆国の実績では1/10程度に)犠牲は減少します。従って、当時進行中の行動制限であっても「現状で4万人程度」とし、「何もしなければ42万人」とすべきでした。  実際には、「学校閉鎖」、「緊急事態宣言」、「自粛」、そして「謎々効果」「高いマスク着用率」によって公式には800〜900人程度、仮にこの期間の超過死亡が全てコロナ禍によるものであったと仮定*しても最大限積み上げて7,000人程度の死亡で済んでいます**。実はこのミスリーディングは、死亡予測につきもので、CNNではホワイトハウス・新型コロナウイルス対策タスクフォースが発表したIHME(ワシントン大学保健指標評価研究所 Institute for Health Metrics and Evaluation)による予測を「2020/08/04迄に何もしなければ100-220万人、現状維持で10-24万人の死亡」と報じていましたが、程なく「2020/08/04迄に現状維持(現状の介入水準)で10万人から24万人の死亡」と無介入での推定を外して報じるようになりました。現在では、「2021/1/1迄に現状維持(現状の介入水準)で41万5千人の死亡」と報道しています***。 〈*筆者は、超過死亡が全てCOVID-19によるものという主張ではない。あくまで仮定であって、超過死亡が別の要因を含む可能性があるため、精査が必須である〉 〈**我が国における超過死亡の推定(2020年8月) 国立感染症研究所〉 〈*IHMEは、毎週金曜日に予測を更新しているが、現在は合衆国の現状維持での2021/01/01迄の累計死者数を現状維持シナリオで378,321名(約38万人)と予測している。合衆国では、2020/09/21-22に累計死亡者数が20万人を超えた。合衆国の第二次世界大戦での軍民あわせた死亡者数は約42万人である〉  ロスアラモス国立研究所(LANL)発表によると2020/09/20時点での本邦は、確定診断付き累計感染者数79,142人であり、1,508名の確定診断付き死者数となります。これは合衆国や西欧諸国に比べれば桁違いに少数*ですが、謎々効果に守られている東部アジア・大洋州では、人口比補正後ワースト4であり従来、世界的に高い水準の医療・公衆衛生を誇ってきたとされる本邦の能力を全く発揮できていません。 〈*例えば、LANLによる2020/09/20から一週間の短期予測では、本邦の感染者数の1週間の増加は、約3,500人、死者が約100人の増加である。一方で合衆国では、1週間の感染者数増加は約26万人、死者約5,000人増と予測されている。人口比で補正すると本邦は、合衆国に比して週ごとの感染者数で1/30、死者で1/20程度である。これは謎々効果の威力を示すだけでなく、本邦のCOVID-19対策の無為無策を示している。本来は、謎々効果によって本邦の感染者数・死者数などは更に一桁少なければおかしいが、今回はそれについて論述しない〉
東部アジア・大洋州諸国における100万人あたりの累計死亡数推移

東部アジア・大洋州諸国における100万人あたりの累計死亡数推移(ppm)(2020/09/20線形)
本国の影響のためか異常値を示すため、フランス海外県、合衆国海外領土、北マリアナ諸島は含んでいない
Our World in DATAより

東部アジア・大洋州諸国における100万人あたりの累計死亡数

東部アジア・大洋州諸国における100万人あたりの累計死亡数(ppm)(2020/09/20)
本国の影響のためか異常値を示すため、フランス海外県、合衆国海外領土、北マリアナ諸島は含んでいない
Our World in DATAより

2020年09月20日迄の各国100万人あたりの累計死亡数分布

2020/09/20迄の各国100万人あたりの累計死亡数分布
東部アジア・大洋州における「謎々効果」が視覚化されている。そしてアフリカ大陸でも「謎々効果inアフリカ」らしき傾向がみられる
Our World in DATAより

 東部アジア・大洋州(フランス海外県、合衆国海外領土、北マリアナ諸島を除く)100万人あたりの累計死亡者数を見ますと、100万人あたり10人の死者数(人口比死亡率10ppm)を超える国は、上位からフィリピン、インドネシア、豪州、日本の4ヶ国です。豪州は、ヴィクトリア州での第二波パンデミックが原因でワースト4入りしており、原因は、経済再開を急いたこと、海外からの持ち込み、低所得者層の集合住宅でエピデミックが激化したこと、冬であった事とされ、9月に入りほぼ収束しました。本邦は、ワースト4ですが、本来第二波パンデミックを起こさなければ評価は大きく変わっていました。現実にはコロナ駄目国家となってしまいましたが、偶然頼み、市民の努力頼みでは限界を露呈したという事です。  次いで韓国、ブルネイ、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、中国、タイが死亡率1ppm〜10ppmです。このうちブルネイは、人口が約43万人と少ないために10名未満(3名)の死亡で死亡率7ppmと過大評価となっています。韓国は、光復節にソウル市でゲリラ開催された宗教右派、サラン第一教会による5万人集会のために第二波パンデミックが発生しましたが、ほぼ制圧されました*。 〈*新型コロナ、新たに197人感染 4日連続で3桁の増加 KBS WORLD Radio 2020/08/17開天節集会に10万人参加申請 コロナで全部禁止 KBS WORLD Radio 2020/09/09(リンク先記事内の写真は2020/08/15にゲリラ開催されたサラン第一教会による集会)〉

統計に出始めた「コロナ本番」への兆し

 これから秋を迎え、世界では「秋の波」*と称される本番の大規模なパンデミックの襲来が予想され、実際に統計にはその前兆が現れ始めています。 〈*秋に予想される大規模なパンデミックは、Fall Wave(秋の波)やFall Storm(秋の嵐)と呼称され、筆者はFall Wave(秋の波)を採用している。|Coronavirus ‘second wave’ could strike this fall and crest after Election Day 2020/09/05 The Washington Post〉  疫病対策は、医学ではなく科学そのものの性格が強く、実際に本邦以外では、数学者や統計学者による寄与がたいへんに大きなものとなっています*。 〈*例えば、マンハッタン計画(核兵器開発計画)でよく知られるロスアラモス国立研究所は、世界のCOVID-19パンデミックの実績と予測について独自の研究を行っているが、研究チームは数学者、統計学者、経済学者、コンピュータ・サイエンス学者の割合がたいへんに高く、医系学者1名、疫学者1名である。また本邦と著しく異なる事は、女性研究者の活躍である。LANLは、原爆・放射線被曝影響研究などで医学、疫学への寄与は伝統的なものである〉
LANL COVID-19チーム

LANL COVID-19チーム
左側メニューの最下段で研究チーム紹介が表示される

 今回から数回にかけて、「秋の波」が既に現実のものとなりつつある中、今後の半年程度の情勢を見極めるために必要な現状を示す統計、今後数ヶ月程度の予測についてご紹介し、解説してゆきます。
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世界が恐れ、対策を講じつつある「秋の波」
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