コロナパンデミックの影響でEU最大の失業者を出したのはスペインだった

バレンシア

例年ならば観光客で埋まるバレンシアの女神像付近の広場。オープンエア席のテーブルに人影がほとんどいない(筆者撮影)

EU圏でもワースト1の失業率となっているスペイン

 9月1日付スペイン紙『El País』に衝撃的な記事が報じられた。  なんと、スペインがEU圏で最大の失業者を出した国だと言うのだ。  今年上半期が終わった時点でコロナパンデミックの影響によって職場を解雇された人の数はEU各国で勿論異なっている。が、スペインは失業率という面から見て第1四半期と第2四半期を加算して8.5%という非常に高い率を記録したことという。スペインに次いで2番目に失業者が多く出たのはオーストリアの4.4%、オランダ3.2%となっている。ユーロ圏全体でのコロナパンデミックによって発生した平均失業率は第1四半期0.2%と第2四半期2.8%となって双方合わせて3%となっているが、それを上回ったのはこれらワースト3の国々であった(とはいえ、ギリシャは失業率の高い国であるが、現時点では第2四半期の統計がまだ発表されていない。それ以外に16か国も統計が発表されていないことは注意されたい)  EUのリーダー国であるドイツとフランスを見ると、ドイツは第1四半期は0%、第2四半期1.4%となり、フランスは前者が0.2%、後者が2.6%という結果となっている。ドイツの経済基盤は矢張りしっかりしているのを今回証明したことになる。

EUからの失業対策支援金も使い果たしているスペイン

 また電子紙『El Confidencial』は3日付にて、スペインに支給される予定になっている「SURE*」213億ユーロ(2兆5560億円)について、スペイン政府は既にそれを使い果たすだけの金額を使っていることを明らかにした。スペイン政府がこれまで使った金額は233億5900ユーロ(2兆8000億円)だ。 〈*「SURE」というのはEUから提供されるコロナよる失業リスクの一時的支援策の救援金〉  なぜSUREを使い果たすだけの支出が発生してしまったのか? その理由は、スペインは前述したように、コロナによる失業者が率にして8.5%という高い割合を出しているからだ。その影響もあって、およそ324万人の被雇用者の失業への手当金の支給などに充当されたのである。  更に8月末の時点で昨年同期比において52万7851人が社会保障費の未納者となっている。それは政府の歳入の減少を意味することになる。例えば、8月末には失業者が一挙に23万7402人増えたという事態も影響している。それも政府の手当の今後の支出となって来る。(参照:「OK Diario」)
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