「マイナポイント」開始! マイナンバーカードとしたたかに付き合う法

紐付けるキャッシュレス決済の選択も重要

 マイナンバーカードを手に入れたら、キャッシュレス決済と紐づける。これをマイナポイントの予約という。この作業が終われば、あとは先述したように、来年の3月末日までにクレジットカードなら2万円使う。そのほかの電子マネーやQRコード決済なら2万円分チャージすれば、マイナポイントして、5000円分の各カードや決済システムのサービスポイントなどが付与されるというわけだ。ただし、今のところ全く心配はないが、今回の措置には予算枠があるので、これから急に申請する人が増えたら3月末前に終わってしまう可能性もゼロではない。 (改行)冒頭で、1人5000円だけでなく7500円得することもできると書いた。それはどうすればいいか。  実は、この紐付けは一度してしまうと変更することはできないことになっている。そのために、クレジットカード会社や電子マネーも自分のカードを選んでもらおうとキャンペーンをしているのだ。選んでくれれば、税金で得する5000円分以外に、わが社独自にサービスいたします!というわけだ。  どこがお得なのか、使い勝手が良く、お得なものを2つあげておく。   まずはNTTドコモ系の決済手段であるd払いだ。同じようなものにクレジットカードのdカード払いもあるが、それはこれから説明するものほど得にならない。得なのはQR決済システムのd払いだ。d払いは、マイナンバーカードと紐づけし、2万円チャージすると、税金からの5000円分以外に、登録したことによる1500円分、そして、2万円使えば、さらに1000円分のポイントを付与される。これで合計で7500円となるわけだ。d払いは、主なコンビニ、ドラッグストアチェーン、サミット、東急ストアなどのスーパー、高島屋、小田急、近鉄、名鉄などのデパートなど使い勝手が悪くない。2万円チャージしてゆっくり27500円使えばいいだけだ。  もう一つあげると、それは、イオン、ダイエー、マルエツなどのスーパーだけでなく、LAWSON、ファミリーマートなどのコンビニ、多くのドラッグストア、マクドナルドや吉野家、ドミノピザ、かっぱ寿しなど飲食チェーンなどでも使える電子マネーWAON(ワオン)である。こちらも紐付けしたあと、2万円分を現金などでチャージすれば、国からの5000円分とは別に2000円分のポイントがつく。7000円のお得となる。  使い勝手のよいお得度の高いものというと、この2つをオススメしたい。

情報漏えいやプライバシーへの「対策」

 さて、冒頭の懸念である情報漏洩や個人のプライベートな購買記録などが国にバレたり、どこかに漏れる可能性ということについて検討してみたい。それを心配する人たちに、私はしたたかな解決策を提示したいのだ。それは、今後、国が考えている預金通帳との紐付けにも共通して推薦したい方法だ。  それは、紐付けするものを、普段自分が使っているメインカードやよく使う電子マネーなど以外の2番手、3番手のほどんと使わないものと紐付けしてしまう方法だ。メインカードと紐付けしないのであれば、個人の口座番号は漏れたとしても、主な買い物履歴などの情報が漏れることはない。普段は使わない決済手段だからだ。預金通帳も同様に給料の振込や光熱費などの引き落としなどにも使うメインの口座ではなく、ほとんど使わないほぼ休眠口座と紐付けするのであれば、貴重な情報はそこにないのだから心配は大きく減るはずだと考える。  もっと言わせてもらうと、心配だと思うのであれば、今回のマイナポイントのメリットを使い終わったら、そのカードや決済手段は今後はほとんど使うのをやめて家の引き出しにでもしまっておいたらどうか。預金口座も、普段は使わず、国とのやりとりをするときだけに使う。どちらもそういう特別なものにしてしまう。預金口座の表面に、国とのやりとり口座用とでも書いた付箋でも貼ってしまってしまえばいい。それが安全性が高いと言えるのではないだろか。   そう考えると、これからマイナンバーカードを発行してもらおうとする人は、手にするまでには、まだ1ヶ月以上の時間の余裕があるのだから、例えば、Rカードのような、新規カードホルダーに7000円分のポイント進呈などがあるクレジットカードを新たに作って、マイナポイントと紐付けしてしまうのもいいかもしれない。国とカード会社からのメリット分を使い切ったら、あとは休眠カードにしてしまうのもしたたかな解決策だと、思うのだ。国から5000円、カード会社から7000円と合計1万2000円。悪い話ではない。  企業側には申し訳ないが、今のようなご時勢。多少はしたたかに振舞うことも必要ではないだろうか。 <文/佐藤治彦>
さとうはるひこ●経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』(扶桑社新書)、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』 (扶桑社文庫・扶桑社新書)、『しあわせとお金の距離について』(晶文社)『お金が増える不思議なお金の話ーケチらないで暮らすと、なぜか豊かになる20のこと』(方丈社)『日経新聞を「早読み」する技術』 (PHPビジネス新書)『使い捨て店長』(洋泉社新書)
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