出入国在留管理庁(入管)の収容施設は本来、送還する人を一時的に留め置くための施設です。それなのに近年、1~3年、5年といった長期収容をすることが問題となっています。
「収容されるくらいだし、ビザがないのだから外国人のほうに非がある。収容されても当然なんじゃないだろうか?」と感じる人も多いと思います。
しかし、その考え方からもう一歩だけ前に出てみてください。「彼らには、実は何らかの事情があるのでは?」と思っていただけるとありがたいです。
収容されている外国人の中には、難民として母国から逃れてきた人もいます。高度成長期は、彼らがビザなしで日本にいることを政府が暗黙の了解で許していました。ところが不景気になると、急に取り締まりを厳しくしたのです。
そのほか、ビザはあったのに日本人配偶者との離婚や死別によってビザの更新ができなかった人、何らかのトラブルでビザを喪失してしまった人もいます。
また、奴隷同然に働かせられた実習生や留学生が、職場から逃げ出して捕まるケースもあります。彼らの中には、日本に来るために背負った借金を返済しなければ、帰国できない人もいます。実習生や留学生の問題は受け入れ側の問題で、本人たちだけに非があるわけではありません。