パリピの聖地「イビサ」も危機。コロナ対策でスペインのナイトライフ壊滅の可能性高まる

救済案すらない一方的な決定に「夜の街」関連業者は反発

 今回の政府の決定に非常に憤慨しているのはナイトライフで憩いの場を提供している業者だ。  その連合会長ラモン・マスは政府が事前の通達もなく今回の決定を下し、それに代わる代替案もなく、また彼らへの救援策もないことに非常識も甚だしいとして激しく批難した。  彼によると、彼らの業界はGDPの1.8%を担い。2万5000社がこの業界に存在し、20万人がそこで働いていると指摘している。(参照:「El Pais」)  もちろん、GDPで1.8%を貢献しているという裏付けには欠けると思われる。例えばディスコとパブについていえば、リーマンブラザーズの破綻の前までは前者は5000カ所存在していたのが、最近は1万8000カ所まで減少。また後者についても2万カ所から1万6000カ所に減少している。また、バルも毎年2400軒余りが店を閉めている。(参照:「La Vanguardia」)

スペインのナイトライフが今後壊滅する可能性も

 ただ、たしかに言えることは、このコロナ危機でナイトライフで憩いの場を提供できる場所の減少が、今後いっそう加速化して行く可能性が高いということだ。  若者にとってディスコなどでの入場券が高いので、若者同士がアルコール飲料をもって広場に集まって夜を過ごすボテリョン(Botellón )と呼ばれている集まりが流行っているが、今回はそれも禁止されたという。  ホテル業界ではバケーション客を見込んで開店したが、現状が今後も続けば9月以降はまた閉店するホテルが増えると言われている。今年のスペイン経済は1939年の内戦以後最悪の状態で年末を迎える可能性は十分にある。 <文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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