美しくない男を派遣する革新的サービス「レンタルぶさいく」を直撃した

「写真だと小綺麗に写ってしまうのが悩み」と話すぶさいく氏

 

ブサイクが必要とされる場面は、必ずある

 ぶさいく氏の考える、ブサイクの需要とは何か。  「物事には、ブサイクが必要とされる場面が必ずあります。ホラー映画では犯人や殺され役、日常ではたとえば合コンの引き立て役。ブサイクを下げて、自分が相対的に目立ちたい時には僕のような存在が必要です。あと切実なのは、ファッションですね。どの服も、モデルがかっこいいから様になるのであって、実際に購入して着た場合に落胆することが非常に多いです。ブサイクなファッションモデルがいないのは、本当に腹立たしいことです。あとは、デート慣れしてない女性の練習相手にもブサイクは求められています。イケメンだと緊張しちゃうという女子の言葉は、これまでたくさん耳にしました」  これまで、人間のレンタル系サービスには家族、恋人、第三者、おじさん、はたまた「何もしない人」などあらゆる属性が登場しているが、「ぶさいく」については、既にありそうで存在していなかった。  それについてぶさいく氏は、「確かに、レンタルぶさいくを思いついた人は過去にもたくさんいたと思います。しかし、ブサイクにはどうしても虐げられる存在であるというネガティブな固定観念がついて回ります。発案した人たちは、そこが拭えず実際の活動に至らなかったのでは」と分析する。ブサイクである自己をありのままに肯定したことが、サービス実現に繋がったといえる。

ブサイクが短所であるとみなす昨今のルッキズム論争に異議

 その着眼点の正しさは予想以上の反響を得たことで証明されたが、一方で「それほどブサイクではない」というコメントが多かったことには「誇り」が傷つけられたと話す。  「僕は写真だと割と綺麗に写ってしまいますが、実物で勝負できるタイプ。ブサイクには様々な類型がありますが、僕の場合は他人に不快感や威圧感を与える、いわばパワータイプのブサイク。鼻、口、目といった全部のパーツが大きくてバランスが悪く、声がでかいのに口が閉じられないので、しゃべるたびに唾が飛ぶ。舐められたくなかったです。こんなもんじゃないよって」  「志村けんがコントでつけているホクロが、僕には最初からついている」と、メリット(?)をさらにアピールするぶさいく氏。その根底には「ブサイクがネガティブであるという考え自体が嫌い」という考えがある。特に、昨今のルッキズムの議論については違和感を覚えているという。  「もちろん、ブサイクだと言われたくない人もいますし、他人の容姿をあげつらい虐めることは良くないことです。しかし昨今のルッキズム論争は、ブサイクを短所として認識するところが出発点となっており、ブサイクに触れないようにしようとするあまり、ただの言葉狩りに成り下がっている。ブサイクの真の生き方を提示するような動きにはなっていないような気がします」
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伝えたいのは「ありのまま、ブサイクである自分を認めて生きること」
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