感染が拡大すれば再び休業要請を行うことは必至だが、セットになるのは補償だ。
「休業補償の問題は法制化されていないことが根本的問題であり、今後改めなければなりません」
それでも今回のコロナ禍では、東京や国では感染拡大防止協力金や持続化給付金などを行っている。しかし、東京都では自治体の貯金にあたる財政調整基金が約9500億円から500億円にまで減少。東京では、これまでのような多額の補償は不可能なのだろうか。
「財政的に経済支援は貸し付けが中心にならざるを得ないでしょう。ただ、給付金と違い貸し付けであれば『ずるい』などと『自粛警察』に後ろ指をさされることもないでしょうから、借り主の心理的負担も和らぐと思います」
出典:東京都
舛添氏は感染拡大が収まらない東京について、最善策を次のように提案する。
「歌舞伎町や池袋などの繁華街で感染が増えていると言われますが、例えばその地域で働くすべての人に検査を実施する。夜だけではなく昼に働いている人も含めてです。体制が違うので同一視は難しいですが、中国は都市を封鎖、一日40万人の検査を一気に行い、感染拡大の封じ込めに成功しています」
このような大規模検査では相当数の感染者が見込まれ、感染者が出た飲食店などは休業せざるを得なくなるが……。
「お店で感染が出た場合は2週間ほどの休業になりますが、その間は貸し付けで補償を行えばいいのです。休業中に除菌などを徹底的に行い、『検査・除菌済み』などと都によるお墨付きを与えれば、お客とお店にとっても安心してその後の営業を迎えられます」
また、東京では来年7月に五輪が開催予定であるが、現状の対策では「中止やむなし」であると舛添氏は語る。
「大規模な検査と地域の封鎖をしなければ感染者数をゼロにすることは不可能。また終息の目処がたっていない国も多く、ワクチンも開発できていない現状を鑑みると、五輪開催は甚だ難しいでしょう」
コロナ禍の「第二波」到来により首都機能は停滞したまま、五里霧中の状態だ。再選した小池都知事は、この局面を打開できるか。
【舛添要一氏】
国際政治学者、元東京都知事。’09年の新型インフルエンザ流行時には厚生労働大臣としてらつ腕を振るう。現在は執筆、コメンテーターなど幅広く活躍中
<取材・文/別冊SPA!編集部>