「検査と隔離」をやらなかった小池都政は初動から誤っていた
圧倒的支持率で再選した小池都知事だが、コロナ対策では妙案を提示できぬままだ
写真:産経新聞社
年始から世界中を混乱に陥れている新型コロナウイルスには各国が対応に苦慮しているが、残念ながら我が国は特に後手に回っている印象だ。特に日本経済の要である東京では緊急事態宣言が解除されて1か月後の7月上旬から軒並み一日の感染者数が200人を超し、小池都知事はついに最高レベルの警戒を宣言した。そんな都政のコロナ対策に、元東京都知事の舛添要一氏は苦言を呈する。
「現在、感染者が増えているのはPCR検査の数を増やしたから。検査数を増やせば、発見される感染者が増えるのは当然です。ただ、諸悪の根源はこの規模の検査を最初からやらなかったこと。感染症対策の基本は『検査と隔離』ですが、初動から誤っていたのです」
PCR検査については、「病床が足りなくなる」、「医療崩壊を招く」などと「大政翼賛エセ医療デマ」が喧伝され、大規模には行われなかったが、それは「建前にすぎない」と舛添氏は言う。
「コロナに関する情報を独占しているのは国立感染症研究所で、ここを中心に検査も行っています。民間企業などと協力すればかなり大規模な検査ができますが、情報を独占して権力を保つためにそれを行わないのです。この体質をまずは変えていくべきでしょう」
コロナ禍の中で行われた先の都知事選において歴史的な大勝を収め再選された小池百合子氏は「東京版CDC(アメリカ疾病予防管理センター)を創設する」と息巻くが、舛添氏は真っ向から批判する。
「感染研を解体して全国をカバーする日本版CDCを創設するのは賛成ですが、東京に限定する機関を作っても意味がない。
利権の温床になるだけです。全国を網羅する機関を作らなければ感染研が威張ったままで事態は解決しません」
また、小池都知事のコロナ対策に多くの欠陥を指摘する。
「休業などを要請・解除する基準が東京は曖昧。いち早く策定した大阪府の『大阪モデル』は基準が3つ、かつ数値目標もあるのでわかりやすい。しかし、東京は『東京アラート』を早々に廃止、数値目標も削除したため基準はあってないようなものです。基準を曖昧にすることで経済活動を優先させやすくする狙いがあるのでしょうが、わかりにくい基準に都民は混乱しています」
そして、政府の指揮系統にも疑問を呈する。
「なぜか西村康稔経済再生担当大臣が前面に出てきて、肝心の
加藤勝信厚労大臣は何をしているのかさっぱりわからない。責任逃れと見られても仕方ありません」