7/15日、神奈川県発表によると、7/12日に神奈川県立足柄上病院が院内で実施したPCR検査において、検査装置による自動判定結果に誤りがあり、本来「陰性」となるべき90代の女性が陽性判定され、県に報告されましたが、主治医が不審に思い、装置メーカーへ解析を依頼、メーカーは誤判定で陰性と判断、神奈川県衛生研究所で再検査したところ正式に陰性判定となりました*。
〈*
新型コロナウイルス感染症による患者情報の訂正について 2020/07/15 神奈川県〉
この偽陽性例では、医師の判断で再解析、再検査でどちらも陰性と判断されていますが、これがヒューマンエラーによるコンタミ(汚染)によるものではないという点で注視すべきです。
この検査は、
1プライマーであり、非特異性に対して脆弱であった事と、RT-PCRではない、かなり独特な迅速検査装置であったという点で
通常のRT-PCR法に比べると誤判定に脆弱といえます。
このプライマーを三重化がなされていないのは本邦の特徴で、現時点では2プライマーと1プライマーが多く、3プライマーは少数派であるようです。これは今後の大規模パンデミックを考えると直ちに改善すべき事です。
一方で諸外国、例えば豪州では、
3プライマー、陽性判定は3つのプライマーが陽性をださなければ陽性判定しないとの事です。更に検体分割で
陽性については他の検査機関で全数ダブルチェックです。勿論、自動化が進んでおり、処理能力が高いだけでなく、ヒューマン・エラーが大きく下げられます。
単純に確率を考えると、本邦が6N(9が6つで99.9999%)であるのに対し、豪州は少なくとも9N以上はあると考えられ、
全人口2500万人に10回程度のPCR検査をしても偽陽性は出ないと考えられます。豪州は人口が2500万人ですので本邦の1/5の人口ですが、累計検査数は、2020/07/30現在で約420万人であり、本邦は累計検査数が約110万人ですので、
人口100万人あたりでは本邦の20倍の検査を豪州は行ってきています。
本邦は、
厚生労働省がばら撒くエセ医療・エセ科学デマゴギーによってこの7ヶ月間を浪費した結果、検査態勢の拡大が人口100万人あたりで
合衆国の1/100と極めて遅れている*事に加え、検査の質についても
豪州などに著しく見劣りがします。そうであるにもかかわらず5N程度の特異度を維持している事は
検査現場の努力によるものと考えるほかありません。現場が苦労していると厚生労働省の傀儡は言いますが、その
元凶は、ジャパンオリジナル・エセ医療デマゴギーをばら撒き不作為を徹底する厚生労働省にあります。鏡を見ましょう。
〈*出発時点では本邦と合衆国は等価というよりも本邦が合衆国に優位であった〉
さて、ここでお気づきでしょうが、この神奈川県でも偽陽性例は、きちんと訂正=救済されています。これは本連載で7/23日にご紹介した
信濃毎日新聞一面トップの医療誤報記事を否定します。
この一面トップ記事の中で
信州大医学部保健学科教授の金井誠博士は、次のように指摘しています。
◎ (偽陽性と判定されたときの訂正手段は、)今のところなく、陽性と出れば一律、同様に扱われます。
PCR検査の偽陽性判定例をここまでご紹介してきましたが、運用実態からこの金井説は否定されますが、
実例からも否定されます。このほかにも2020/04/11に愛知県で大規模な偽陽性発生を起こしています*がこれは明らかに
ヒューマンエラー(くしゃみなどが典型)で一度に24人の偽陽性者を発生し、
翌12日に訂正しています。このときは6人を誤って収容してしまうと言う大失態があり、重要な教訓を残しています。
なお、ヒューマン・エラーは、人間が介在する限り必ず発生します。従って、ヒューマン・エラーを抑止するシステムの設計、ヒューマン・エラーを検出する仕組みを設計する事、ヒューマン・エラーは罰せず必ず申告させる事、常にその解析を行いシステムを改善してゆく事が大原則です。
〈*
新型コロナウイルス感染症の検査結果の誤りについて 2020/04/12 愛知県/この事故では明らかにくしゃみなどの典型的なヒューマンエラーを見逃しており、さらにコンタミ検知のネガティブ・コントロール(ネガコン)を入れていない可能性がある。きわめて程度の低いヒューマンエラーの複合した事故である。この事故を加えると、本邦PCR検査の特異度は、5N-となる。現在は学習によって起こりえない〉
この事故においても、
統計上ありえない現象から直ちに調査が行われ、対象者の救済が行われています。では
金井説は何処が出所なのでしょうか。やはりこれも
厚生労働省と考えて間違いないでしょう。