新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。全国の感染者数は、延べ3万4806人(7月30日時点)に上り、死亡者数も1000人を超えた。感染者が周囲からの非難や嫌がらせに直面するケースも相次いでいる。
佐賀新聞LiVEは7月15日、感染者やその家族が特定されたり、中傷されたりするケースがあると報道。なかには家に石を投げ込まれた人もいたという。岡山県内でも感染者が特定され、嫌がらせを受けるケースが相次いでいる。
山陽新聞が6月10日に報じた。
そうしたなか、新潟県見附市(みつけし)が市役所の公式Facebookページに投稿した漫画が反響を呼んでいる。漫画のタイトルは
「安心して感染したい」。
見附市役所公式Facebookページより
「安心して感染したい」では、住人たちが次々と感染を恐れる発言をする。そのいずれもがコロナウイルスそのものを恐れているというよりは、周囲の目を恐れている発言ばかりだ。
「狭い町で噂になるから一人目の感染者にだけは絶対になりたくないわ~」
「感染したって分かったらこの町ん中ですぐに村八分にされんぞ~」
「周りから陰口叩かれてこの町に住めなくなる」
作者である見附市公式レポーターの
村上徹(むらかみとおる)さんは、「周囲の人たちからこうした言葉を聞いてモヤモヤしていた」と話す。
「モヤモヤを形にしようと思って、とりあえず漫画を描き始めたんです。その過程で
自分も人の目を気にしていること、わざわざ口に出さなくても同じようなことを思っているところがあると気が付きました。コロナウイルスについては治療法もまだなく、やっぱりみんな怖いですよね。みんなが感染のリスクに晒されて怖い思いをしているときに、
お互いに傷つけ合ったり、いじめにつながるようなことを言うのはやめたいと思いました。そういう自分の気持ちをそのまま漫画にしたんです」
こうした思いを込め、漫画の最後には「誰もが感染する可能性がある中で、こんな声を聞くと『噂するのも村八分にするのも後ろ指さすのも陰口を叩くのもウイルスじゃない。この、「ひと」なんだよなぁ』と、思う。見附人として互いを想い合う温かい『ひと』でありたいと願う」と綴った。
「正直、市内で感染者が出たら『誰なんだろう』『近所じゃないといいな』と思ってしまうと思います。でもそれを口にしたらいじめにつながってしまう。
誰が感染しても誹謗中傷しないような空気になってほしいですね」(村上さん)