2つの古都を繋ぐ和菓子屋の魅力。ポーランドの古都・トルンで和菓子屋を営む日本人エンジニアの挑戦
古都で歴史に想いを馳せながら、和菓子を味わう……。京都が代表的な例だが、日本では見慣れた光景だ。しかし、東欧ポーランドのトルンではどうだろう?
トルンはその中心部にある旧市街が世界遺産にも登録されている、ポーランドを代表する古都のひとつだ。中世から変わらぬ景色を見に、国内外から多くの観光客が訪れている。
そんなトルンの一角に、日本人が営む和菓子屋が佇んでいることをご存知だろうか? 内装は煉瓦造りの、まさに中世のイメージそのものだが、店内の随所、そしてもちろん和菓子からは和の雰囲気が溢れている。
同店「KOTONOHA」を営んでいるのは、村上友則さん。ITエンジニアとして働きながら、2年前からポーランドで暮らしている。いったい、なぜ?
「実はポーランドには何の縁もゆかりもないんですよ……。ITの仕事をしながら、海外で暮らしてみようと思いまして、まず候補に挙がったのはエストニアでした。ですが、ビザを取得するのがすごく大変なんです。そこで、比較的ビザが取りやすく、物価もそれほど高くない、なおかつ英語が通じやすいということで、ポーランドに移住したんです」
ポーランドに移住してからは、こちらも同国を代表する古都のひとつ、ポズナンに暮らしていたが、その後トルンへと移った。
「妻と2人で引っ越してきたのですが、ポーランド語ができないと仕事をするにも、バイトをするにも難しい。そこで、自分たちで働く場を作れないかと考えたのが、創業のキッカケでした」
当初はうどん屋をオープンすることも検討していたが、世界でも和菓子の人気が出てきているということから、和菓子屋を目指すこととなった。
「開店するにあたっては、ポーランドで手に入る食材を集め、京都で和菓子づくりの修行をしました。ヴィーガンの人でも楽しめるものなど、メニューも職人さんと一緒に考案しています。特にポーランド向けにアレンジはしていませんが、テスト段階で『甘すぎる』という声があったので、甘みは若干抑え気味にしました。保存が効かなくなりますが、そのぶんヘルシーになっています。抹茶を含め、お茶は京都の農家さんから直接仕入れていますが、そのほかの材料はポーランドを中心に、ヨーロッパ各国から手に入るもので、砂糖や豆類など可能な限りオーガニック(BIO)の材料を使っています」
ITエンジニアをしながら東欧へ
ポーランドの食材×京都の技術
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