筆者がたらい回しされ不安が募っている間にも、へずまによるコロナ感染者発覚の報は止む事なく、次々に感染が明らかになってきていた。もはやへずまは全国的にスーパースプレッダーになりつつあった。
7月19日に、筆者は再度、沖縄で一番最初に電話した帰国者・接触者相談センターに問い合わせをしてみた。しかし、第一報から4日経ち、これほどまでに報じられているにも関わらず、職員の耳にはへずまのニュースは届いていないようで、「月曜日に保健所に電話をしてください」と言われただけだった。
翌20日、ツイッターを見ていたら、19日に玉城デニー沖縄県知事が、米軍人の感染者が多いキャンプハンセンがある金武町総合保健所で行われている「ウォークスルーPCR検査」を視察したという
ツイートを投稿していたのを見つけた。沖縄で米軍が無許可で公園を使用し、その時の影響で感染者が増えていたというために行われていたのだろう。このツイートを見て、藁にもすがる思いで電話をしたのだが、なんと19日限りの実施でやっていないと言われてしまった……。
結局、再び中部保健所に相談してみることに。
ここでついに、前回とは別の、へずまのニュースも知っている職員さんが電話に出てくれたのだ!
彼は、へずまの一件について、「非常にとんでもない問題で許し難い」との認識で、「もしかしたら、それだけだと検査できない可能性もありますので仁尾さんは東京へ6月17日〜7月6日に行ったということも踏まえた上で検査していただける病院を探しますね」と言ってくれた。すぐに沖縄県の中部にある徳洲会病院を紹介していただき
16時までに行ってくださいと言われたので車で1時間かけて向かった。
徳洲会病院の駐車場に着き、電話をするとPCR検査専用のドライブスルー外来と呼ばれる駐車場に案内された。待つこと更に1時間、徳洲会病院から電話がかかってきて「本日は一般外来の方が多く担当医の手が回らなく検査できない」との旨を伝えられた。こちらもすでに不安なままいたずらに時間が過ぎており、未発症感染者として拡散してしまっているかもしれない不安を抱えている上に、車で1時間かけて来てるので、このまま引き下がる事もできない。何とか粘ったのだが、挙げ句の果てには「保健所には
15時30分までに来てくださいとお伝えするようにしていたのですが、取り敢えずこちらとしては本日の検査は咳が出ていなかったり熱がない限りはできないので保健所に連絡してください」と保健所から指定された時間とは違うことを言い出しまるで筆者か保健所の職員の聞き間違いかのように言われてしまった。
すぐさま、保健所に連絡したのだが「代わりの病院もご紹介できない」という状況は変わらることはなかった……。最終的には次の日には確実にできるようにと確約をしていただきその日はすごすごと帰宅した。
やっと検査に辿り着いた
21日。遂にPCR検査を受けれることになったので朝9時に再び中部徳洲会病院へと車を走らせた。
到着し、徳洲会病院に電話をかけ、待つこと約1時間ぐらい。ドライブスルー外来から少し離れた場所に案内され、PCR検査を開始した、最近は唾液検査も可能になったというが、自分がやったのは鼻咽頭検査と呼ばれる鼻の中に綿棒を入れて検体を採取する手法のものだった。
検査自体は3−4分ほどで終了し結果は2日後に分かるとの事でやっとPCR検査が終了し家路についた。
23日。ついに検査の結果が出た。12時ぐらいに電話がかかってきてようやく自分の状態を知ることができたのだ。
結果は「陰性」であった、その際に「PCR検査の感度は50〜70%ぐらいなので1週間自主隔離をして体調が悪くなったら、また連絡してください」と医師に告げられた。
取り敢えずホット一息。やっとなんとか安心することができた。しかし、自分はたまたまラッキーだっただけで、もしかしたら感染していたかもしれない。さらに未発症感染の状態で、人に感染させていたかもしれない。そう思うと心底恐ろしい。こんな思いは二度とゴメンなので、今後も勿論感染症対策はやろうと思う。
それにしても、今回へずまが感染したこと自体については批判するつもりはないが、4日に症状が出ていたのにも関わらずマスクもしないで道端やカラオケ店で思いっきり咳をし、「悪い、コロナ」と冗談まじりに言い、ウイルスを撒き散らし実際に感染を広げていた事はとても許される行為ではないだろう。
……と、ここまで書いたところでちょうどPCR検査でかかった費用の請求書が届いた。果たしていくら請求されるのか……。SNSでは「高かった」という話も散々見ていたので、ヒヤヒヤしながら封書を開けてみる。
筆者のところに届いたPCR検査費用の請求書
2250円……。思ったより高くない。ほっと胸を撫で下ろした。
ただ、高くはないとはいえ、馬鹿にできない金額であるのは確か、仮にCOVID-19の疑いが濃厚な症状や条件が揃った人がいても生活に困窮している人にはかんたんに受けられないかもしれない。また、今回の筆者のケースのように、たらい回しにされて数日経過してしまうなんてことも起こり得るわけだ。やっぱり、現状PCR検査のハードルはまだまだ高いのではないか。そういうことに気づけただけでも今回の経験は貴重だった……と言いたいところだが、一人の身勝手な行動によりここまで苦労するとは、ホントに迷惑な話であった。「迷惑系YouTuber」だけに……。
<文・写真/仁尾淳史>