スペイン切手の凄腕弁護士、ジュリアン・アサンジの弁護チームも務めるバルタサル・ガルソン氏(Photo by Peter Summers/Getty Images)
マドゥロとともに「甘い汁」を吸っていた男が拘束された
ベネズエラの大統領ニコラス・マドゥロの代理として世界を飛び回っていたコロンビアの実業家、
アレックス・サーブがアフリカのカボ・ベルデ共和国で6月12日に拘束された。米国のFBIとCIAからの要請でインタポールから指名手配されていた。
米国政府はサーブを米国で裁けばマドゥロと彼の側近らの隠し財産を突き止めることができると見ている。同様に、現在ベネズエラの金塊が当初ロシアそのあとトルコから現在はイランに至るまでの闇ルートを通して密売されているが、その解明もできると見ている。
ベネズエラの原油が減産に次ぐ減産で輸出が殆どできない状態にある。その代りの役目をしているのが
金塊の密売である。最近ではそれをイランに送って、代わりにイランからガソリンを輸入している。この取引を遂行したのがサーブである。
また、ベネズエラが食糧難であることからメキシコなどから食料を輸入してベネズエラの市民にそれを配給するシステム(CLAPと呼ばれている)をマドゥロは構築した。安いコスト輸入していたにも関わらず、それに過分のマージンを加えてベネズエラ政府が支払っていた。この取引を行うための会社グラン・リミット・グループ(GGL)の経営者はサーブと彼のパートナーヘルマン・ルビオ(本名アルバロ・プリード)の二人とされている。が、実際にはこの企業のオーナーは
マドゥロ大統領自身である。それを追及したのはベネズエラの元検事総長ルイサ・オルテガだ。彼女は当初マドゥロに忠実な人物とされていたが、マドゥロの違法な振る舞いについて行けず辞任して逆に今ではコロンビアに亡命して反政府側で活躍している。
マドゥロがオーナーだとされているGGLは2016年から2018年の間、このCLAPで安価な仕入れコストを2倍の価格で販売して稼いだ額は野党の調査で50億ドル(5400億円)と推定されている。その分、政府はこの食糧の買い付けで余計に歳出しているということだ。(参照:「
Infobae」)
カボ・ベルデ政府はサーブの身柄を米国に送還することで合意しているとされている。同政府のジャニン・タティアナ・サントス法務相はこの送還の為の署名も済ませている。同法務相は2018年1月に米国と法務上の協力をすることに署名し、翌年9月にはそれが議会で認定された。ということで、前科のある者の送還もその中に含まれることになる。
ところが、それを阻止する動きがマドゥロの方とサーブの弁護士の間で既に起きている。マドゥロはサーブの弁護人としてインターポールの元法律顧問ラッセル・シルベストゥレ・ハシント・マルタと契約した。サーブは外交官のパスポートを使って動いていたということで外交特権の適用を主張していく方向にある。(参照:「
El Tiempo」)
更に、サーブの弁護士の方ではポルトガルで著名なアブレウ弁護士事務所とも契約したという。カボベルデはかつてポルトガルの領土だったということからポルトガルの影響力が今も残存しているのも理由の一つだ。