スター揃いのマーリンズ外野陣の中、イチローのスタメン起用はあるか?
2015.01.25
ヤンキースからFAとなっていたイチローが、メジャー15年目をマイアミ・マーリンズの一員として迎えることになった。
イチロー選手の入団までメジャー30球団中日本人選手が所属したことがない2球団の一つであったマーリンズがイチロー選手を獲得した背景には、悪名高いオーナーのもとでイメージ回復に本腰を入れた球団広報の戦略があった(前編:日本人選手と無縁だったマーリンズのイチロー獲得。理由は「広報担当会社の変更」!? https://hbol.jp/22421)。
しかし、イチローは果たして十分な出場機会が得られるのか?
実はマーリンズの外野陣は、まだ若手ばかりとはいえメジャーナンバーワンと評されるほどのレギュラーがそろっている。レフトのクリスチャン・イエリチはまだ23歳で今季メジャー3年目だが俊足好打で今後の成長が期待されているし、センターのマーセル・オズナも24歳3年目でパワーと抜群の身体能力を持つ未来のスター候補、ライトのスタントンはすでに触れたように25歳にしてスーパースターだ。この顔ぶれの中、イチローは4番目の外野手ということになるが、出場機会を得られるのかが懸念されるところだろう。イチローは昨季、ヤンキースで143試合に出場、そのうちスタメン出場が95試合、打席数385で102安打をマークしている。2年で3000本安打を達成することを目指すなら、今季80安打はしたいところだが、昨季が3.77打席ごとに1安打というペースなのでそれを維持できるとしても300打席は必要だと考えられる。
さて、マーリンズの4番手外野手として果たして年間300打席が得られるのか。
昨季の例を見てみると、マーリンズの4番手外野手はリード・ジョンソンという37歳のベテランだった。同外野手はマイナー契約でキャンプに参加したが、開幕からシーズン最後までメジャーに残っている。そのジョンソンは年間113試合に出場し、そのうちスタメン出場が27試合、途中出場と合わせ201打席に立っている。
この例からすれば、イチローは最低でも200打席程度は得られるだろう。そこからどれだけ上積みできるか、それは故障者発生などのチーム事情によるところも多いため予想は難しいが、本人が結果を出してつかみ取っていく部分もある。ただヤンキースにいた昨季のようにスタメン出場の機会は減るかもしれないが、投手が打席に立つナ・リーグということで途中出場の機会は増える。マイアミの地元メディアの記者には「外野では出場機会が少ないかもしれないので、一塁での起用もあり得るのではないか」と憶測する向きもある。
ただ、イチローはヤンキースでは5番手外野手で、外野陣に故障者などが出たのでたまたまスタメン機会が多かっただけだが、マーリンズでは4番手外野手でありレギュラー陣に何かあれば真っ先に起用される立場にある。そういう意味では、決して悪い状況ではないのではないか。
ちなみにマーリンズは今まで日本人選手と縁がなかったが、野茂英雄氏がドジャースからメジャーデビューし旋風を巻き起こしていた1995年7月に、第2の野茂を探そうとすぐさま日本にスカウトを送り込んでいる。1990~94年に日本ハムでプレーしていたマット・ウィンタース氏が当時、現役を引退してマーリンズのスカウトとして雇われ、日本の選手をスカウトするよう任命されて再び海を渡っている。それから20年、いち早く日本人選手に目を向けていた球団が、ようやくイチローという日本のレジェンドを得たのだ。
<取材・文/水次祥子>
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2015.01.25
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