ベビーシッターが強制わいせつ容疑で逮捕の衝撃。我が子を性暴力から守るにはどうすればいいのか?
ベビーシッターマッチングアプリ大手のキッズラインに登録の男性シッター2人が、保育先で子どもに強制わいせつ行為をした容疑で逮捕された。
新型コロナウイルスの影響で休校や休園となり、子どもの預け先に困る親にとってベビーシッターは救いの手だったはずだ。それだけに、件の事件が親に与えた衝撃は大きい。筆者は3歳の男子の親であり、ベビーシッターを何度も利用したことがあるだけに、いつ我が子が被害に遭うかと強い不安を覚えた。
性犯罪者から子どもを守るにはどうすればよいのか。また、性犯罪者にはどのような特徴があり、親としてどのような対策を講じることができるのだろうか。
そもそも、強制わいせつとはどのような犯罪なのか。これは暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をしたときに成立する犯罪のことで、被害者が嫌がっているにもかかわらず無理やりキスをしたり、陰部を触ったりする行為が該当する。ただし13歳以下の男女に同様の行為をしたときは、相手が嫌がっていたかどうかを問わず、罪が成立する。
13歳未満と線引きされているのは、日本では性的同意年齢が13歳と定められているためだ。法律上、13歳以上であれば、性について十分な知識を持ち、自分の判断で性行動を選択できると見なされているわけだ。しかし、イギリス(16歳)やフランス(15歳)などG7諸国に比べても低く、年齢の引き上げを訴える声もある。
そして小児性愛者(呼称には異論があるが、本稿では同表現を使う)は、13歳未満の子どもを性的対象として体を触ったり、性交を迫ったりする者を指す。
警察白書には、13歳未満の子どもが被害に遭った犯罪が罪状別で掲載されているが、強制わいせつは傷害や誘拐などの犯罪に比べて発生件数が多い。
しかし性犯罪には統計上の数値と実際の事件発生件数との間のギャップを示す「暗数」が多い特徴がある。被害を受けたにもかかわらず被害届を提出しないケースがあり、被害に遭った子どもの実数はさらに多いと考えられる。
性のことに限らず、子どもは生きていくために必要な判断を自分で十分にできない。就学前の幼児であればなおさらだ。子どもへの性犯罪は、大人と子どもとの間にある圧倒的な力の差を利用した暴力であり、卑劣な犯罪だ。
『小児性愛という病ーーそれは、愛ではない』(斉藤章佳著・ブックマン社)によると、著者である斉藤章佳氏が勤務するクリニックで診た子どもの性加害経験者の場合、初診時の年代で一番多いのは「30代」(34%)で、「20代」(25%)、「40代」(24%)が続く。これはあくまで初診時の年代であり、初犯時のものではない点に注意したい。性犯罪は現行犯逮捕されるケースは稀で、加害行為を継続した後に何らかの理由で犯罪が発覚することが多いためだ。
初診時の職業は「一般企業(会社員)」(34%)が最も多く、「無職」(26%)が続く。中には「教員(塾講師・インストラクター)」(16%)に就いている者もいる。自営業を含めて有職者は56%で、そのうち約3割が子どもに関わる職業に従事していることになる。
子どもを指導する立場にある職に就いているにも関わらず性犯罪を犯すとは驚きだが、普段から子どもに接する機会が多いことを考えると、納得はいく。加えて、先生と生徒という力関係を利用して「悪い成績を取りたくなければ誰にも言うな」などと子どもを脅して口止めすれば、子どもは逆らえない。こうして小児性愛者は性加害を継続できる環境を手にする。
また学校や塾などは屋内であり、性犯罪の犯行に適した人目につかない場所が生まれやすい。
もちろん、子どもと関わる職業に就いている全ての人が性加害をするわけではないことは強調したい。ただ、「そうした環境(編注:指導的な立場)を利用して加害行為をする者が少なからずいることは広く知られるべきだと思います」と斉藤氏は著作で呼びかけている。
13歳未満の子どもが遭う犯罪で「強制わいせつ」は群を抜いて多い
子どもに関わる職業に従事していた人物もいる
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