いま観光業に必要なのは「安全・安心」なのに、GoTo事業をゴリ押しする不可解な安倍政権

MMTはすべてを解決する打ち出の小槌なのか

 本を読みながら、私は居酒屋の酔客はこうも言ったのを思い出した。 「佐藤さん、そもそもね、お金ってのは国が輪転機を回して刷って発行してる、ですよね」 「まあ、そうですね。もう金(ゴールド)と交換できる兌換紙幣でもありませんからね」 「ですよね、お札を刷るのに幾らかかるのか分からないけれど、大したカネじゃない。そんなら、山ほど刷ってくれてですね、私たちから税金なんか取るのを辞めたらいいんじゃないですか?給料を全部使えるようになれば、景気も良くなりますよ」  私は、またもやインフレの危険性を説こうとしたのだが、酔っ払いを相手に話していても仕方ないとニヤニヤしながら聞いていたのを覚えている。MMTを財源とすれば、福祉も教育も、そして、税金でさえ無くす事も可能になるのかもしれない。果たして、それで経済が回るのだろうか? 果たして、現代における貨幣、金とはどういうものなのか? MMTはどんずまり感、閉塞感のある現代社会における救世主なのか?   少し長くなりすぎた。読んでいただいてありがとう。もしも、MMTが有効であるのなら、それは、革命だ。どこかに書いてあった。これは、経済学の「科学革命」なのだ。MMTは果たして私たちを救ってくれるのか? 続きは次回にしたいと思う。 <文/佐藤治彦>
さとうはるひこ●経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』(扶桑社新書)、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』 (扶桑社文庫・扶桑社新書)、『しあわせとお金の距離について』(晶文社)『お金が増える不思議なお金の話ーケチらないで暮らすと、なぜか豊かになる20のこと』(方丈社)『日経新聞を「早読み」する技術』 (PHPビジネス新書)『使い捨て店長』(洋泉社新書)
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