数値で見る東京都のパンデミック。無策の小池都政と大政翼賛医療デマゴギーの罪

東京アラート

「映え」だけを狙った、事実上無策な小池都政における愚策と欺瞞の象徴となった「東京アラート」
まちゃー / PIXTA(ピクスタ)

「第一次第二波」パンデミックの渦中にある日本

 前回、合衆国の失敗をご紹介しました。そしておなじ結末へ向かいつつある日本について7月初めに引き続き論じる予定でしたが、事態は既に東京での新規感染者数の指数関数的増加を示しており、全国でも接触追跡不能の新規感染者がランダムに発生していることから東京だけでなく日本全体で第一次第二波*パンデミックが進行していると考えられます。 〈*本来、昨年12月からのパンデミックを第一波、今年10月頃からの到来を予想されるパンデミックを第二波と呼称することが一般であった。しかし全世界でパンデミックの再燃を第二波と呼称し、既に定着してしまっている。筆者は混乱を避けるため暫定的に昨年12月からのパンデミックを第一次パンデミックとし、その中でのSpike(棘)やSurge(うねり)を第一波、第二波と呼称している。その上で今年10月頃から襲来すると予想されているパンデミックを第二次パンデミックと呼称し、明確化している〉

「医師会検査」で統計の精度が大きく向上した東京都、7月末まで予想してみる

 今回は、2月からの第一波と異なり、少なくとも東京だけは、事態の推移を見極めることが可能なだけの最低限のPCR検査が医師会主導によって行われてきています。この検査を筆者は、「医師会検査」と呼称しています。東京都のPCR検査結果の集計方法は、日本全体とおなじでこの時代に電話FAXピーゴロゴロ、鉛筆ナメナメ人力集計と極めて非効率であることと集計方法が標準化されていないという問題がありかつ遅いです。更に恣意的数値の操作=メイキングの温床であると指摘されています。しかしこのことには目をつぶって分析して行きます。
東京都における2か月間の新規陽性者数推移

東京都における2か月間の新規陽性者数推移(実線は7日移動平均)
出典:東京都

 東京都の新規感染者数=新規陽性者数は、5/23の2名を底値に一貫して増加傾向で、6/24に55人と50人を超え、7/2に107人と100人越え、7/9に224人と200人越えで一週間ごとに倍増してきています。なお、東京アラート発動の目安の一つであった20名は、5/29に21名、6/4に34名で超えましたが、7日移動平均が20名を超えたのは6/7の21名でした。  自然科学者ならば、6/5頃には東京での新規感染者数が指数関数にのったのではないかと疑い始めますが、ある程度科学的知識がある人でも6/20頃には東京の新規感染者数はExponential Growth(指数関数的増加)となっている事に気がついたと思います。  現在、東京の新規感染者数は、6/16前後から7日で二倍の速度で増加しており、完全にExponential Growthとなっています。またこの新規感染者数は、発表の14日前に感染した人の数を示していると考えられており、7/12に発表された新規感染者は、6/28頃に感染したものと考えられます。従って、7/12に感染した人は、800人程度と考えられ、この人数は、7/26頃に発表されます。  このまま社会的行動制限などの介入が行われなければ、8/2には1600名の新規感染者が報じられ、その背後では、6400名/日の新規感染者が発生することとなります。8/2時点での5/23以降の入院患者累計は、5000名程と予想され、この時点で東京都の医療はパンク寸前となっている可能性があります*。 〈*東京都は最悪のレヴェル4段階でCOVID-19による入院患者の病床を4000床、ICUを700床まで確保する計画である。現在は、レヴェル1で、入院病棟1000床、ICU100床が確保されている〉  実際には、先の週末から新幹線がガラッガラ、公園に人が居ないなどの報告が多く見られますので、報道により自衛のために市民が自発的な社会的行動制限を始めたものと考えられ、結果として7/11頃からパンデミックへの自発的介入が始まったと考えられます。この結果が統計に表れるのは、7/24以降です。  7/24迄に統計が発表される新規感染者は既に7/10に感染しており、その数は800名/日と見積もられます。従って、7/24の5/23以降の入院・重症患者数の累計は、2000名前後と見積もられ、この数は現時点での東京都のCOVID-19対応病床数を特設分も含めた3000床*に高い圧力を加えます。7/24までは、ほぼ確定した未来と言えます。それよりあとは、7/11以降の介入次第で変えることができます。 〈*東京都 病床3000床確保など医療体制強化へ 新型コロナ 2020/07/09 NHK
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第一次第一波パンデミックから学べるものとは?
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