入管収容施設の窓からこちらを見る被収容者たち。彼らは本当に犯罪者か?
出入国在留管理庁(入管)の収容施設では、ビザのない外国人たちが長期に渡り無期限に閉じ込められている。そこには、どんな人たちが収容されているのだろうか。
難民申請が却下された人や、職場で日本人経営者に暴力を受けたり搾取されたりした実習生や留学生。やむを得ず逃亡した人、日本人配偶者との離婚によりビザが更新できなかった人。そのほか刑事事件や何らかのトラブルによりオーバースティになってしまった人など、
とても一口では言いきれないほどさまざまな理由を抱えている人たちがいる。
日本では、ビザのない外国人に対する偏見が強い。良くないのは、
事実を知ろうとせずに「悪いもの」と決めつける傾向があることだ。
例えば、収容されている人たちについてネット上などで
「不法入国」「正規の手続きで入ってこい」「密入国するからいけない」と悪意を込めた意見を述べる人がかなり多い。
織田朝日氏のTweetに寄せられたリプライ
しかし、これはちゃんと根拠をもとにした発信だろうか? よく知らないで、ただの思い込みで言っているのであれば、それは差別の助長であり、タチが悪い。
難民は、正規のビザを用意することができない場合もある
そこで外国人支援団体
「SYI(収容者友人有志一同)」が、いわゆる入管白書、最新版の『出入国在留管理』(2019年度版)をもとに調べてみた。
入管白書、最新版の『出入国在留管理』(2019年度版)をもとにSYIが調べてみた
最新の2018年のデータによると、入管法違反者1万6269人、うち「不法残留」1万4353人、「不法入国」409人「不法上陸」140人。つまり、ビザのない外国人の中でも不法入国はたった3%に過ぎず、非常に少ないと言える。
しかもその3%の中には難民が含まれている場合もある。難民は、正規のビザを用意することができない場合もある。急いで危険な母国を離れるために、ブローカーに多額の金を支払い、偽装パスポートで入国せざるをえない。
しかし、日本も曲がりなりにも難民条約を結んでいる国だ。難民という立場、その人のバックグラウンドを十分に配慮しなければならない。
【難民条約(難民の地位に関する1951年の条約)第31条(抜粋)】
許可なく当該締約国の領域に入国しまたは許可なく当該締約国の領域内にいるものに対し、不法に入国しまたは不法にいることを理由として刑罰を科してはならない。
ちなみに、長く入管の面会活動をやっている筆者でも、「不法入国をしている」という人の話はほとんど聞かない。だいたいの人は正規の観光ビザで入ってきて、何らかの形で更新できずオーバーステイになってしまった人がほとんどだ。