日本のやり方は、難民条約や国際法上の原則に反している
入管前で、強制収容に抗議する人たち
また、「なぜ日本を選んだのか」と疑問に思う人もいるだろう。これもまた理由はさまざまではあるが、
日本のビザは比較的早く取得しやすく、「急いで母国を離れるには日本を選ぶしかなかった」という証言をよく聞く。
ところが日本に来るのは簡単でも、入ってしまえばそうはいかない。入管は空港で、相手が難民だとわかると追い返してしまうことがある。いくら帰るように促しても、どうしても帰れない人は入管の収容施設行きとなる。
2018年、パキスタンから逃れてきた男性が、観光ビザで羽田空港に上陸した。彼は何の理由も教えてもらえることなく東京入管に連れていかれた。そのまま1年以上も収容されたというケースもある。
日本は難民条約やノンルフールマン原則(「難民を、迫害が予想される地域に追いやってはならない」という国際法上の原則)に反していると言える。また入管は、被収容者に対する虐待的な扱いについても国連から再三、勧告を受けている。
「これは日本のやり方だ」と思考を完結させないで、外国人であれど人間を苦しめるやり方が本当に正しいのかどうか、日本にいる1人1人が考えなければならない課題ではないだろうか。この人権侵害は日本で行われていることだからだ。
ただ思い込みやイメージだけでものを言うのは非常に簡単だが、相手からしてみれば身に覚えのないレッテルを張られることは、この上ない苦痛でしかない。
「外国人犯罪」の8割が「入国管理法違反」。一般の犯罪は全体の0.4%程度
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」のウェブサイトには、
「『外国人犯罪増加・凶悪化』のウソ」と題したページがあり、そこにはこう書かれている。
「総検挙人員に占める外国人の割合は2%前後で、ここ15年ほどほとんど変化はありません」「外国人の特別法犯の8割は入国管理法の違反であり、これは日本国籍者にはほとんど適用されません」
これをもとに単純計算すれば、
日本人と同じ一般の犯罪(入管法違反ではない)を犯す外国人は、0.4%程度しかいないということになる。
同サイトには
「日本のマスコミは、『外国人犯罪』を日本人の犯罪以上に大きく取り上げたり、『外国人犯罪過去最多』『急増』という警察発表を検証することなくそのまま報道する傾向があると指摘されています」とも書かれている。
正しい知識を持たないで人に悪意をぶつける人間は本当に卑劣だ。知りもしないで、一方的に犯罪者扱いされることは誰でも耐え難いことである。
<文・写真/織田朝日>