フリーランスほど収入が減ってはいないものの、将来の不安を感じる人が増えているのが会社員だ。先にも触れたようにコロナで収入が減ったと回答した会社員は32.1%。収入が減った人がフリーランスよりも少なく、さらには65.4%は収入が変わらないと回答している。
収入だけをみるとコロナの影響を受けていない人も多いのだが、それにもかかわらず会社員からの脱却を検討している人が増えている。上記のコロナ後のアンケート(2020年4月から5月に実施)の他にコロナ以前の2018年10月に実施されたアンケート結果があり、この二つの時期で意識の違いが如実に出ている。
「今の仕事や働き方の問題を解消する、または満足度を高めるための取り組みとして考えていることはあるか」という質問があり、コロナ後に数値を伸ばしているのが「副業」「フリーランス(個人事業主)」「起業(法人設立)」「非営利活動」の4つだ。
ここで注目したいのが、「フリーランス(個人事業主)」と「起業(法人設立)」で、「フリーランス(個人事業主)」が18.3%から46.4%に、「起業(法人設立)」が12.7%から46.5%とそれぞれ30%前後上昇している。
なお、転職はコロナ前の調査では38.9%でコロナ後には33%と数値を落している。コロナによって、雇用されて働くことに不安を感じるようになってしまった人が増えているのかもしれない。
なぜ会社員の意識に変化が生じたのだろうか。この点もアンケートの結果から読み取ることが可能だ。
会社員に対して「アフターコロナの世の中では、働き方はどのような方向に進むと思うか」という質問が複数回答形式で設けられている。ここで最も多い回答が「時間・空間の制約からの解放」で、「とても進むと思う」と「やや進むと思う」の合計が81.6%となっている。
これまでは通勤してオフィスで働くという形式が一般的なものだったが、コロナによって図らずもテレワークの定着が進んだ。テレワークに対する質問では、コロナによってテレワークを新規に活用した会社員は41.7%と回答している。さらに、コロナ以前から活用していた人も35.9%と一定数を占める。多くの会社員がテレワークを導入もしくは経験している。
「時間・空間の制約からの解放」以降は「企業の内外を自在に移動する働き方の増加」(60.7%)と「兼業・副業・複業の一般化」(60.1%)と続いてる(両回答とも「とても進むと思う」と「やや進むと思う」の合計)。いずれの回答ともこれまで会社員の働き方とは一線を画すものとなっている。
コロナによって、会社員は今後働き方が変わるかもしれないという予感をより強いものとした。現状においては、会社員の働き方は本当に変わるのか、また仮に変わったとしてもそれが良い方向に進むのか、悪い方向に進むのかはわからない。会社員にしても、フリーランスにしても「コロナによって以前よりも働き方がよくなった」と明るく振り返られるようになることを願うばかりだ。
<文/菅谷圭祐>