日々の値動きに一喜一憂せず、長期間コツコツと積み立てを行うのが投信による資産形成の極意というのはわかった。では「人生100年」と言われる時代にいつまで運用を続けるべきなのか?
「一般論として“できるだけ長く続けるべき”が答えですが、定年後など高齢になってから大きなショックが起きてしまうと、そこから数年間の運用で資産を取り戻すのは難しい。老後に必要な目標額を定め、目標額に達したら個人向け国債のようなリスクが極端に低いものにシフトしてもよいかもしれません」(竹内氏)
加えて、ファイナンシャルプランナー佐々木裕平氏からは「個人単位での運用を考えた場合、“認知症になるまで”というのが現実的な線引きではないか」との意見も。欲をかかず、自力で運用判断ができるうちに身を引く決意も重要なのだ。
また、自分が保有する投信よりも低コスト・高パフォーマンスな商品を見つけたとき、”乗り換え”はすべきなのか?
「より低コストで成績も優秀など、明らかに魅力的な商品が出てきた場合には乗り換えの検討をすべきですが、投信は売買するたびに手数料や税金がかかるので、頻繁に積み立て先を変えるのは得策ではありません」(竹内氏)
ただし、ここ数年インデックス型は”手数料値下げ合戦”が激化し、「下がるところまで下がってどの商品もあまり差がない印象」(同)だとか。
「対してアクティブ型はコストも成績もかなりの差が出ますが、『過去の成績が良いから今後もいい状態が続く』とは限りません。『運用方針が自分が求めているものと合っているか』を物差しにすべき」(同)
【竹内弘樹氏】投資信託・株初心者アドバイザー
ライフパートナーズ代表。「やさしい投資信託のはじめ方」運営。著書に『マンガでまるっとわかる!投資信託の教科書』(西東社)
【佐々木裕平氏】ファイナンシャルプランナー
金融教育研究所代表。「普通の人のためのお金の増やし方」を楽しくわかりやすく伝えるのがモットー。著書に『投資信託 超入門』
<取材・文/松嶋三郎>