来る都知事選、子育てや教育政策に絞って、各候補者の掲げる政策を比べてみた
任期満了に伴う東京都知事選挙が、6月18日に告示された。現職の小池百合子氏をはじめ、れいわ新撰組代表の山本太郎氏、立憲民主党、共産党、社民党の支援を受ける元日弁連会長の宇都宮健児氏、日本維新の会推薦で元熊本県副知事の小野泰輔氏など、過去最高となる22人が立候補。7月5日の投開票に向け、各候補者が選挙活動をスタートした。
未だ収束しない新型コロナウイルスへの対策のほか、来夏に延期された東京五輪の是非が注目される一方で、決して見逃せないのが子育てや教育への施策である。2019年の1年間に生まれた新生児の数は90万人を下回っており、加速する少子化対策は喫緊の課題だ。本稿では、子育てや教育に着目し、各候補者の公約を比較した。(注)届け出があった順に掲載。公約サイトがあり、子育て・教育に関する政策を明記している候補者のみ掲載した。
「あなたはすでに頑張りすぎている。本当に頑張らなければならないのは政治だ」をキャッチコピーとし、新型コロナで都民が受けた経済的な不安解消に力を入れるれいわ新撰組代表の山本太郎氏。「総額15兆円で、あなたのコロナ損失を徹底的に底上げ」を掲げ全都民への10万円給付を目指すほか、東京オリンピック・パラリンピック中止も公約に挙げた。
子育て施策については、「保育所の増設」「隠れ待機児童を含む待機児童の解消」を強調している。都知事選の特設サイトでは、待機児童についてこう述べている。
「待機児童と言っても、公表されている『待機児童』の数は氷山の一角で、認可保育所に入所できなかったにもかかわらず待機児童としてカウントされない『隠れ待機児童』(2019年で都内で18000人と言われる)を加えれば解決したとはとても言えない状態です(中略)また待機児童問題の理由の一つは、保育士不足。月給が全産業平均より約10万円低いなど、保育現場での長時間労働、低賃金によってそこで働く人々が余裕をなくしてしまう結果、使い潰されるような労働環境になっていることにあります。保育士の皆さんの社会的地位の向上に加えて、給与水準を国家公務員の正規の職員なみの水準に引き上げるべきです」
空き家を活用し初期費用を抑えた住宅の提供も目指すほか、高校・大学・大学院・専門学校等の授業料の1年間免除も約した。
都知事1期目の是非を問われる選挙を迎える現職の小池百合子氏。前回選挙時に公約として掲げた「7つのゼロ」のほとんどが未達成であり、都民が向ける目は厳しい。
しかし実績も残している。「待機児童ゼロ」は実現できていないものの、保育園増設や保育士の処遇改善支援などを行い、2016年に8466人いた待機児童は2020年4月時点で2300人にまで減少。また全国の都道府県で初めて「体罰禁止」を条例に明記したほか、2019年10月よりスタートした「幼保無償化」では都独自の支援策を盛り込み「子育てしやすい東京都」を推進した。
小池氏は引き続き、女性活躍や子育て支援の充実をアピール。公約サイトには以下の点を挙げている。
「保育・学童の待機児童ゼロへ向けた施策の加速」
「家庭における仕事と子育ての両立環境(ベビーシッター・家事支援など)」
「男性の育休取得・家事育児への参加の促進」
「子育て世代の経済的支援の強化:合計特殊出生率2.07へ」
仕事と育児の両立支援を行い親の働きやすい環境を整備し、直近で1.36の合計特殊出生率を上げる狙い。ベビーシッターは近年注目される保育のひとつだが、シッターマッチングアプリ大手「キッズライン」に登録する男性が強制わいせつ容疑で逮捕され、ベビーシッターの安全性をどう担保するか社会問題となっている。小池氏がどう向き合うのか、具体策が望まれる。
幸福の科学を母体とする幸福実現党所属で、2016年の都知事選に出馬した経験を持つ七海ひろこ氏。働き方改革への反対や、消費税・所得税の減税を訴える。2020年の出馬にあたり、七海氏は東京の安全・防災面の改善や主要各線の24時間化など都の交通革命を公約に掲げた。
子育てについては「子育て世代や若者が、働きやすく、暮らしやすく、将来に希望を」をスローガンに、「建築規制を見直すことで、都心に広くて安い家を増やします」
「企業内保育所・病院内保育所の開設を支援します」「保育の質を上げ、安心して子どもを預けられる保育所を増やします」などの政策を進める。消費税の5%への減税も実現したいとしている。
保育所増設、待機児童解消を訴える山本太郎氏
子育て支援や女性活躍をアピールする現職・小池百合子氏
企業内保育所開設支援、保育の質向上を掲げる七海ひろこ氏
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