【6問目】
山添拓議員:「
省庁間ですり合わせはせず、支援を広げてほしい。文化庁が文化振興として、継続・再開・向上を支援することを萩生田大臣は約束してほしい。」
萩生田文科大臣:「経産省の支援を基本としつつ、空いた隙間は文化庁の支援を利用して頂く。不備があれば省庁間で調整する。」
質問(
文化庁による文化振興の約束)への回答は一言も確認できない。
【7問目】
山添拓議員:「
文化庁が創設した文化芸術復興創造基金は民間からの拠出のみ。なぜ国費を投入できないのか?」
萩生田文科大臣:「官民で力を合わせ国民全体で文化芸術を支える機運の醸成を図ることが重要。」
質問(
国費を投入しない理由)への回答は一言も確認できない。
ちなみに文化芸術復興「創造」基金は山添議員が指摘している通り、民間の寄付に頼っており、前日(6月11日)の閣僚答弁で
約133万円しか集まっていないという衝撃的な事実が発覚している。名称がよく似た文化芸術復興基金(WeNeedCultureが創設を求めている国費を投入した基金)とは全くの別物である。
【8問目】
山添拓議員:「
民間からの寄付に頼り、133万円しか集まらなかった文化芸術復興創造基金をどうやって配る?」
萩生田文科大臣:「通常は財団法人や企業が種銭を出すのが慣例だが、コロナ禍の状況なので厳しい。まだPR不足なので、これから多くの皆さんのお心を頂戴しながら国の役割も果たしていく。」
質問(
文化芸術復興創造基金の分配方法)への回答は一言も確認できない。
しかも、
国民からの寄付を促すためにPRに力を入れると受け取れるような答弁であった。
【9問目】
山添拓議員:「
日本の場合、文化芸術への国の支援はもともと乏しい。国家予算額に占める文化予算の割合を日本、フランス、韓国を例に説明してください。」
萩生田文科大臣:「国によって行政組織や制度、文化予算の範囲等が異なるので単純比較は困難。
新型コロナに関わる文化芸術支援としてはフランスは4394億円、韓国は3015億円。」
この際、
山添議員が提示したパネルによれば、
国家予算に占める文化支出の割合は日本0.12%に対して、フランスは0.92%、韓国は1.14%である。日本の約10倍という高い水準で両国が文化芸術を支援していることが分かる。
【10問目】
山添拓議員:「
最前線で活躍する歌手・俳優・映画監督の多くはライブハウス・小劇場・ミニシアターの出身。彼らは自らの原点が失われないように声をあげている。人生を豊かにしてくれるのが文化芸術。日常的な支援のあり方を含めて、抜本的に転換すべきでは?」
安倍総理:「
あらゆる手段を尽くして文化事業の継続と雇用の維持を図っていく。今後、文化芸術を含めたイベント、エンタテインメント事業の方を対象に大胆な消費喚起策にも取り組んでいく。」
とても勇ましい総理の決意であるが、
具体的な支援内容については閣僚が既に説明した内容の繰り返しを述べただけであったため、上記の要約からも省略した。
以上が全10問の概要である。
1〜4問目、10問目では文化芸術への支援について前向きな答弁が見られたものの、
5〜8問目は質問に一切回答していない。回答しないということは、少なくとも現時点ではこれらの支援について政府は前向きには検討していないと想像できる。
<回答が無かった質問>
5問目:文化庁と経産省の支援は重複しないので両方の支援を受けて良いのでは?
6問目:文化庁が文化振興として、継続・再開・向上を支援することを約束してほしい
7問目:なぜ文化芸術復興創造基金に国費を投入しない?
8問目:現時点で133万円しか集まっていない文化芸術復興創造基金をどのように分配する?
映画・演劇・音楽の関係者が連帯して声をあげたことで世間の注目は高まり、政府の支援内容も少しずつ改善してきた。だが、文化芸術への損失補償や継続的な支援という観点では政府の方針はまだまだ不十分であり、今後も注視していく必要がある。
<文・図版作成/犬飼淳>