一緒に仕事をしたことがあるライターが振り返る「天才編集者」の手法
筆者が登録している「マシュマロ」という匿名メッセージ受付サービスで、こんな質問が届きました。
筆者がやってるマシュマロに寄せられた質問
イヤな質問するなァ。自分もこないだ気づいたんですけど、箕輪さんとお仕事ご一緒したことありますからね。
「お前、箕輪さんと仕事してたよな?」って言われてつらつら箕輪さんのプロフィール見てたら、確かにしていたし、与沢翼の元ライブドアがあった六本木の事務所で与沢翼待ちしていたことを思い出しましたよ。その時の会話の内容もぼんやり思いだしたのですが、そちらは伏します。え?なんで与沢翼の本の仕事を請けたのかって? そんなん、面白そうだったからに決まってるじゃないですか!
で、なにが天才的かというお話でしたね。簡単に言うと、1 著者の稼働ナシで本を作るシステム と、 2 これら著者の褒め合いによって読者を誘導し、一種の読者層を作った。さらに、 3 読者層を組織してネットでの購買運動を作り、販売前にランキングをジャックした。 4 幻冬舎のイマドキ珍しいイケイケの販売方針により、大量に印刷して、配本制度とそれにともなう歩戻しを積んでチェーン系書店に本を積み上げ「売れている本」の体裁を演出した。これにより、「売れている本だから売れる」という循環にもっていったということにあるのではないでしょうか。
こちらはゴーストライターや箕輪さん本人が、著者の過去本の山から新しい切り口を考え、数回のインタビュー(ない場合もあるかも)を実施して本を制作することです。いわゆるゴーストライターですが、これはビジネス書では普通のことで、特に新しいということはありません。まあ、本の内容を見ると、そのインタビュー稼働もかなり少ないのではないかと感じたりはしますが。このゴーストは箕輪さん案件ではありませんが自分も何冊も手掛けています。
著者の褒め合いによって読者を誘導し、一種の読者層を作った
出版社は、いつも想定される読者層のことは気にしていて、帯には、その想定される読者層が食いつきやすい大物を起用して推薦文を書いてもらうことは日常業務としてやっています。その結果、あるジャンルの本の帯は軒並み同じ人が「今世紀最高の傑作」「20年に一度の傑作」「私が涙した推薦作」などなど並んだりしてるわけです。
新規性としては、帯に推薦文を寄せるのは、必ず複数人起用して、そのうちの一人をこれから売り出したい人を配すところでしょうか。そうすることで、売り出したい人にある種の権威性をまとわせていこうということですね。
権威性があるから帯を書く、から、帯を書く人だから権威がある の逆転があります。これはちょっと新規性があるかなと思います。しかもそのシステムに編集者である自分本人も組み込んじゃう。外部の下請け編集である自分がこれしようとしたら、版元の編集さんに「ふざけてるんですか?」と真顔で言われちゃいますな。