リモートワークやオンライン授業で脳が退化する? 「人間らしさ」を回復させる意外なツール

 コロナウイルスの影響でリモートワークが進み、仕事の会議や学校の授業が対面ではなく、PCやスマホ画面を通して行われるようになってきた。

画面越しの「顔」が前頭前野に影響

オンライン授業のイメージ

photo via Pexels

 こうして社会の仕組みはテクノロジーの進歩で次のステップに進みつつあるように見える。しかし、その便利さと引き換えに「人間らしさ」を司る脳の部分が小さくなる危険性がある。  そう、実はリモートでのテレビ会議や、動画授業があなたの人間らしさを奪うことになるかもしれないのだ。  東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏の研究によると、「対人コミュニケーション場面での脳活動計測を行ったところ、実際に誰かの顔をみて話をすると前頭前野は大いに働く。(中略)テレビ会議システムを使って話をさせても、前頭前野は働いてくれません」ということがわかっている。  前頭前野とは、「人間らしさ」を持つために必要な脳の領域で、相手の立場に立って考えたり、思考、記憶、やる気、感情のコントロール、創造性、計画性などの働きを持っている。  前頭前野が衰えると、感情的になったり計画性を無くしたり考えることができなくなるなどの影響が発生する。

共感性や創造性が損なわれる?

 有名な事件だと、1848年にフィニアス・ゲージという男性が工事中の事故で、鉄の棒が彼の顔を貫通し頭部から抜け出したことで、前頭前野が損傷。手術後、無事に生還したが、前頭前野を失ったことで柔軟性が極端に欠如したり、暴力的行為動機づけの低下などの症状を起こすようになった。    その前頭前野は、zoomなどのアプリケーションを使ったコミュニケーション中は機能しないので、相手の立場になって考えたり、創造的な思考ができないなどの影響があるという。また、習慣的に前頭前野を使わないようになると、その機能が次第に退化していってしまうということだ。
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脳をリカバリーさせるには映像ではなく読書が効果的
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