追加で年120万円支給した場合、2年後にはGDP600兆円超え!?
写真提供/小野盛司・増山麗奈
小野氏は、給付金額を3か月おきに年4回、年間の一律給付の合計額がそれぞれ40万円、80万円、120万円の場合で、2022年の第一四半期まで給付したと設定。そのケースと、2022年の同時期までに新たな給付がなかった場合とを比較した。
その結果を見ると、新たな給付なしの場合は2022年3月末でも日本のGDPは低迷し続け、コロナ危機以前の水準に届かなかったのに対し、
年間120万円支給の場合は「2年後にはGDPは600兆円を超し、夢の世界の実現です」(小野氏)だという。
年間40万円の場合でも、来年夏ごろにはコロナ危機以前の水準を上回り、その後もGDPは拡大を続けるという結果となっている。
一律給付金の財源となる国債を大量発行した場合、一般的には国債の暴落と金利急騰、インフレなどが懸念される。しかし小野氏は
「1980年代から現在まで国債残高は増加し続けたが、金利は逆に下がり続けています」と指摘。
またインフレについても
「日経NEEDS日本経済モデルでの計算結果では、120万円給付の場合でも、消費者物価指数の上昇は2年後でも2.5%以内と、コロナ危機以前をわずかに上回る程度に抑えられています」と、国債大量発行による悪影響はないとの見解を示した。
小野氏は
「現金給付は日本経済での慢性的な需要不足を解消し、企業の経常利益も最大で2.5倍にまで跳ね上げます」とその意義を訴える(※)。前出の井上氏も
「まず一律現金給付を行い、それでも困窮している人々がいれば対応する支援を行うほうが、救済から漏れる人々を減らせるのではないか」と訴える。
※この推計結果に関しては日経新聞が承認したものではないとのこと。
人々の生活が困窮し、日本経済自体も大幅に落ち込んだのは、感染拡大を防ぐためとはいえ、政府による外出制限や営業自粛の呼びかけによるものだ。コロナ失業、コロナ倒産が相次ぐ中で、政府は早急に対策を実行していく責任がある。そうした対策の中でも効果的かつ効率的なものとして、一律現金給付が検討されるべきだろう。
【ニュース・レジスタンス】
<文・写真/志葉玲>