リモート会議や研修をダメにする無意味な「掟」
意見交換や質疑応答の時間が十分に確保されていない会議や研修に参加したことのある人は多いに違いない。説明や解説が長引いて、予定していた議論や質疑ができなかったというケースもあれば、意識的か無意識的かは別として、参加者から突っ込まれたくないという思いから、説明役や進行役が議論や質疑を割愛してしまったり短縮させてしまったりする。その結果、一方的な説明による会議や、聞くだけの研修になってしまう。
リモートで会議や研修が行われることは、そのような状況に輪をかけている。それも、反対意見や質問があまりなくて、早く会議が終わったのでよかったと肯定的に受け止められてしまっている。あるいは、「リモートでの会議や研修は一方的な説明や解説になってしまってもしようがない」というようにあきらめてしまっている。しかし、この議論や質疑ができない状態は、会議や研修を形骸化させてしてしまうという深刻な問題を発生させているので、見過ごすことはできない。
「リモートでは意見交換や質疑応答ができない」と会議や研修の進行役は嘆くが、実は進行役がそれを増長してしまっていて、自分で自分の首を締める状態に陥っているケースが実に多い。
その典型的な例が、リモート会議や研修に参加する際は、参加者はビデオやマイクをオフにするという掟が存在することだ。進行役が最初に「それでは、みなさんビデオやマイクをオフにしてください」と案内するケースもあれば、そもそも主催者サイドで、あらかじめビデオやマイクをオフにしておく場合もある。
それを繰り返していくと、進行役から言われなくても、ビデオやマイクをオフにして参加することが習慣化されてしまう。既にそのような状況に陥っているように思えてならない。
私は、リモートで双方向演習を実施している。どの参加者も、ビデオやマイクを常時オンにして、トレーナーの私と参加者との間で問答しながら進行し、演習を繰り返していく。
あらかじめ、「ビデオやマイクを常時オンして、リモートで双方向演習を実施するプログラムです」ということを案内しているのだが、それでも初めて参加する人は、ビデオやマイクをオフにして参加し、他の参加者がオンにしている様子をみたり、私のガイドで、オンにするということがほとんどなのだ。それだけ、リモートではビデオとマイクをオフにするということが習慣化されてしまっていると言わざるを得ない。
このように申し上げると、「ビデオやマイクをオンにしていては、回線が不安定になる」ことを心配する人がいる。確かに、ビデオ動画がスムーズに動かない、音声が途切れるという状況が発生する場合がある。
しかし、こうした状況は、特定の人と場所からの接続に限ってみられる。私は、その人からの接続に限って、一時的にビデオやマイクをオフにしてもらい、こうした状況を打開している。
リモート会議ツールの安定度は格段に高まっているように思える。数名から数十名単位でリモートで双方向演習を実施しているが、この方式でスムーズに進行できている。
ビデオやマイクは会議の生命線
不安定な回線には個別に対応
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2020.06.01
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