緊急事態宣言解除で再開したパチンコ業界が「6月6日」を不安がるワケ

パチンコ店の対策実施状況はいかなるものか?

 実際にどれほどの対策を講じているのか。千葉県のパチンコ店数店に訪れてみた。 ●総武線主要駅徒歩1分圏、500台クラスの中型店A ●総武線主要駅徒歩3分圏250台クラスの小型店B(A店とは別の駅) ●千葉市中心部にある500台クラスの中型店C  すべてのパチンコ店では、入場口を1カ所に限定し、客の入店時の消毒とマスク着用の義務化が徹底されていた。中型店のAとCでは、入口のドア付近にフェイスガードを着けた専門のスタッフが立ち、手指の消毒を補助し、また非接触型の体温計による検温も行われた。Bでは検温は無かった。  全店とも、店内スタッフは全員マスクと手袋を着用。空いた遊技台の消毒作業は欠かさず、消毒が終われば「消毒済み」のカード等を遊技台ごと客に分かるように掲示している。  客が出玉を交換するカウンターには、飛沫感染防止用のビニールシートが貼られており、足元には距離を取るための立ち位置シールが貼られている。喫煙室の利用人数は極端に制限されていたし、C店では店内喫煙室は閉鎖されていた。  遊技台や店内のBGMの音量は無くすか最大限小さくすることを業界のガイドラインは求めているが、実際にどれほど対策をしているのか、客が少ないせいもあり正確には分からなかったが、いつものパチンコ店と比べれば驚くほど静音化された空間であった。C店では、トイレの自動ドアのボタンに客が接触しないよう、センサー式に切り替えられていた

「遊技台の距離」対策は……

 しかし実際に遊技台コーナーに移動してみると、業界のガイドラインであれば「遊技台の間に飛沫感染を防ぐボード等を設置するか、または一台置きに稼働(間引き営業)させるか」の対策を講じなくてはならないはずなのに、実際に守られていたのはA店だけであった。  A店は、パチンコは遊技台の間に飛沫感染防止ボードを設置し、パチスロは一台置きに営業していたが、B店はパチンコ、パチスロ共に台間の対策はなく、C店はパチンコ台は対策を講じていたものの、パチスロ台は対策なしで一部人気機種のコーナーでは客同士が密接しながら遊技をしていた。  総じて言えばA店のみが業界ガイドラインを遵守しており、他の2店はそうではなかった。  パチンコ店のコロナ対策におけるキモは、遊技客同士の距離である。遊技台と遊技台の間に、飛沫感染を防止するためのボードやビニールシートを設置するか、もしくは一台ずつ間を空け(電源を落とし)客同士の距離を取るのかの二択しかない。  長期間の休業で落ち込んだ売上を取り戻すため、1台でも多く遊技台を稼働させたいのかも知れないが、「どうせ客は少ないんだから大丈夫」などとガイドラインの対策を軽んじることなかれ、一時の欲が取り返しのつかない過ちを引き起こしかねない。  火急。即刻襟を正し是正してほしいものだ。 <取材・文/安達夕>
Twitter:@yuu_adachi
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会