一方で、この公共交通機関におけるマスク着用義務化に懐疑的だったり、不満を漏らしたりする人たちもいる。
大学院生の金某氏(32歳)は、「暑くなればマスクの着用は不快。どこまで耐えられるのか。それよりも公共交通機関の混在注状況を緩和する制度の方が重要」と言い、また別の会社員は、出勤時はマスクを着用したとしても社内ではマスクを外し社員同士が話し合ったり、向き合ってランチを食べたりしている。社内文化の改善こそが重要」と指摘した。
市内のタクシー運転手は、一方的に乗車拒否をすることは難しい。また利用客が減っている現状で、マスクをしていないからといって乗車を拒否するタクシーがあるとも思えない。また夜間の利用で、酒に酔った客が車内でマスクを外した際にトラブルになるかも知れず、運転手たちのストレスが増えると言い、マスク着用義務化の負担感を隠さない。
中央災難対策本部によれば、当面はソウル市や仁川、大邱等で、マスク着用義務化を実施し、今後全国に拡大していく方針だ。また「交通分野の防疫強化方案」により27日からは国内線・国際線問わず、航空機を利用する際にもマスクの着用を義務化した。
韓国国内では航空機内での感染事例は報告されておらず、また他の公共交通機関と比べ、空調システムや換気が厳格に管理されていることから感染危険度は低いとされているが、対策本部のチョン・ウンギョン本部長は、「可能性は低くても、飛沫感染の危険はある。飛沫を遮断するのが目的」と対策の必要性を訴えた。
公共交通機関におけるマスク着用の義務化。このような対策が、日本社会における「新しい生活様式」にフィットするのかやってみなければ分からないことではあるが、梅雨の時期を迎え蒸し暑くなれば、汗で蒸れるのを嫌い、マスクを着用しなかったり外したりする人が出てくるのは明白だ。更には都市部の通勤電車の混雑状況は日毎に増していくだろう。
日本では、マスク着用による熱中症の可能性であるとか、2歳以下の幼児のマスク着用はやめようとか、逆にマスク着用がもたらす危険性についての報道が散見されるが、コロナ第二波に備え、市民の気の緩みを引き締めるという意味でも検討の余地がある施策ではなかろうか。
<文/安達夕>