パチンコ業界がコロナ対策のガイドラインを正式発表。垣間見える「絶対に感染させない」という強い意思

ソーシャルディスタンスから高齢者や県外客への対応まで網羅

 具体的な対策については、7ページにも及ぶ。このガイドライン全文については、一般の方も見られるように日本遊技関連事業協会のHPにアップされている。全文を見たい方はHPで確認してみてほしい。  ガイドラインでは、営業時の店内対策のみならず、開店前の行列対策や、具体的な消毒個所と方法、トイレや喫煙室の利用ルール、バックヤード(事務所)の対策、換気の徹底等、微に入り細を穿つ対策である。  特に注目すべきは、メディアでも批判の対象になっていた、遊技客同士の距離の問題であるが、この点に関しては、飛沫対策ボードの設置もしくは、1台以上間隔を空けての着席となっている。また最終項である「9.その他の対策」として、感染した際の重症化リスクの高い高齢者への配慮や、県外客への対応についても言及されている。  パチンコファンサイトに連載している、漫画家のピノコ氏が、全国のパチンコ店のコロナ対策を一枚のイラストにまとめており、業界のガイドラインのすべてを網羅している訳では無いがかなりの部分を一目で確認出来るので、こちらを見てもらうのも良いかも知れない。  コロナ禍の状況におけるパチンコ店の営業には様々な議論がある。いわゆる「三密」の状況になりやすいという東京都医師会の指摘もある。緊急事態宣言下における休業要請がなされているのにも関わらず営業を行うパチンコ店もある。

パチンコ店は決して反社会的存在ではない

 改善されるべきは改善されるべきであるし、真っ当な批判に関しては業界も真摯に省みるべきであろう。しかし、日本が真の法治国家であるのであれば、「違法業種」であるとか、「反社会勢力(の一歩手前)」であるとか、社会のストレスの捌け口としての「憎悪の対象」として不当な扱いをすべきではない。  本稿の締めとして、緊急事態宣言が解除されパチンコ店等に対する休業要請を取り下げた際の、愛媛県の中村時広知事による、5月8日の会見の言葉を紹介したい。 「(ぱちんこは)勿論ギャンブル依存症等、業界にはまだまだ問題はありますけども、法律で認められている業態であるということ。そしてもう一つは愛媛県の経営者の皆さんは、実は他の県の様に我々は協力金をセットにしませんでした。協力金ゼロであったにも関わらず県の要請をしっかりと受け止めて、要請翌日から全店県内のパチンコ店は速やかに休業して頂きました。(中略)いわば地域への配慮というものが、他県では要請に従わない店があるようですけども、そういう経営者は居ないという事だけは私は皆さんに伝えておきたいと思います。勿論、無条件ではありません。三密の対策をしっかり採った上での緩和という事で御座いますので、その点皆さんにお伝えしておきたいと思います」  これが真っ当な評価であるべきだと、筆者は思う。 <取材・文/安達夕>
Twitter:@yuu_adachi
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会