「コロナで脱ハンコ」の流れは、15分に1頭のペースで殺されるゾウを救えるか
象牙目当てに、15分に1頭のゾウが殺され続けている

大阪で摘発された大量の密輸象牙(2006年)。写真提供/トラ・ゾウ保護基金
日本の象牙取引規制は「抜け道」だらけ
認定NPO法人「トラ・ゾウ保護基金」事務局長、坂元雅行弁護士は「高級印材としての象牙の需要が、ゾウたちを脅かし続けている」と指摘する。
現在、象牙はワシントン条約によって国際取引が禁じられている。象牙の違法売買の世界最大の市場であった中国でも、国内取引が禁止された。だが日本では象牙の国内取引が今なお合法であるなど、世界の流れから逆行している。
「印鑑を扱う業界が、官僚と結託して象牙の国内取引の禁止に抵抗しているからです。日本ほど、国内市場で堂々と象牙が売買されている国は他にありません」(坂元弁護士)
象牙の国内流通を禁止しない日本政府の言い分は、「国内で流通している象牙は、ワシントン条約で国際取引が禁止された1990年以前の在庫であり、密猟象牙は日本にはほとんど入ってきていない。したがって日本国内市場での象牙売買と野生のゾウ密猟とは無関係」というものだ。
しかし、坂元弁護士は「日本での象牙の管理には、大きな抜け穴がある」と言う。
「国内で象牙を売買するには『1990年以前の象牙である』という科学的な年代測定結果を添えて環境省指定の機関に申請し、登録を受ける必要があります。しかし書面審査であるため、申請者が(専門業者に依頼して)測定を受けた象牙と、登録しようとしている象牙が同一かどうかを確かめることができません。
そのため、虚偽の申告で登録されるおそれが相当あるとみるべきです。そもそも、象牙の登録制度は全形を保持した象牙のみが登録対象で、分割された牙や、印鑑・アクセサリーなど加工された象牙は登録の対象外となっています。この点から、国内外の専門家やNGOから『抜け穴』だと批判され続けています」(坂元弁護士)
1
2
ハッシュタグ
