国民の声で検察庁法改正案先送り。民意は悪政を変えられる! 大切なのは忘れず声を上げ続けること

次は「赤木さんの再調査を求めます」

赤木さんから筆者に送られたLINE

赤木さんから筆者に送られたLINE

 検察庁法改正の先送りは、山のように不動だと思われた安倍政権を巨大な民意のうねりが動かしたことを意味する。それなら別のことでも安倍政権を動かすことができるのではないか? デニー沖縄県知事のツイートはそんな思いから出たものだろう。そして今回のできごとは、ほかにも多くの方を勇気づけている。  例えばこの方。赤木雅子さん。森友事件で公文書改ざんをさせられ命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの妻。「夫の死の真相を知りたい」と第三者による公平な再調査を求めているが、安倍首相も麻生財務大臣も「再調査はしない」と突っぱねている。その赤木雅子さんは、法案見送りについてこうLINEしてきた。 「世論が政権を動かしたんですね。安倍首相に国民に寄り添う心があるなら次は再調査が進むはずです。政治家も公務員も誠実であるべきです」  そこに思わぬ“援軍”が現れた。その名は笛美さん。ツイッターでのハンドルネームだ。今回、政権をストップさせた「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッターデモを発案。500万ツイートを超える巨大なうねりを巻き起こした最初の一言を発した人だ。その笛美さんが、検察庁法案を止めた翌朝、こんなツイートをした。 「【拡散希望】#赤木さんの再調査を求めます  森友改竄問題で自死された赤木さんのご遺族、雅子さんが、世論が政権を動かしたニュースを喜んでくださっているそうです! 赤木さんの死の真相も、私たちの声が集まれば解明できるかもしれません。雅子さんの力になりたいです! ぜひ賛同をお願いします!」  赤木さんはこのツイートを投稿直後に知った。 「このツイートのこと知り合いからLINEでお知らせもらいました! 笛美さんありがとうございます。酔談見た友だちからも『笛美さんすごいねー』って電話きました。再調査進むよう応援してくださってありがとうございます」  ここで赤木さんが書いている「酔談」というのは、私の高校新聞部仲間でメディアコンサルタントの境治が、私と一緒にユーチューブで流している「メディア酔談」という配信のことだ。5月15日に検察庁法改正を取り上げ、そこに笛美さんにもリモート参加してもらった。そのことを指している。  これまで安倍政権を批判・反対する人たちの間では「何をやっても変わらない」という無力感もあったと思う。ところが今回、政権が強引に推し進めようとしたことを、民意の巨大なうねりが変えることができた。この経験は大きい。

5月18日を、日本の民主化運動の記念日に

 だが油断はならない。検察庁法の改正案は廃案になったわけではない。政府・与党は今国会での成立を見送っただけで法案は継続審議だ。秋にも想定される臨時国会で成立をめざす構えを見せている。これについて旧知の政治記者はこう語った。 「日本人は長続きしない、とバカにしているんじゃないですかね」  しばらくすれば検察庁法改正反対の熱も冷める。夏がすぎて秋になったころに再チャレンジすれば可決できるだろうと、政権は高をくくっているのだという見方だ。  今回の経験を、我が国の民主主義を変える大きな一歩にするために大切なこと。それは「忘れない」こと。「しつこくやり続ける」こと。笛美さんは早くも次の一歩を踏み出している。 【募集】 議員さんへの感謝の声を届けませんか? 検察庁法改正案の件でアプローチした議員さんに、お礼メール(電話/FAX)をしませんか?裏テーマとしては、もしまた変なことしたら対立候補に投票するよ?と誠意と感謝を持って匂わせる、です!例文も2つ書いてみました↓ #次の選挙まで忘れない」  5月18日は、1980年、お隣、韓国で民主化運動のきっかけとなる「光州事件」が始まった日。だが運動は軍事政権の戦車部隊に鎮圧され、多数の犠牲者を出す悲劇となった。  それから40年の時を経て、我が国で5月18日はツイッターデモが勝利した記念日となるのかもしれない。いや、しなければならない。一人の犠牲者も出すことなく成功した輝かしい民主化運動の記念碑なのだ。 <文/相澤冬樹>
大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安倍官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(ともに文藝春秋)
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