2月14日、まだ感染者が出ていない頃のコスタリカ。首都サンホセのレストランでは、日本で新型コロナウイルスによる死者が出たニュースが流れていた
コスタリカの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策が、功を奏しつつある。台湾や韓国、ドイツなどが「成功例」として世界的に紹介される中、この中米の小国は、あまり注目されることもなく、密かにCOVID-19との闘いをうまく導いている。
新規に陽性が確認された数は、この1か月平均で1日あたり10人を切っている。一方で回復者の数は順調に増え、4月18日以降は回復者数が新規感染確認者数を上回っている。つまり、実質的な患者数が減り始めたのだ。
コスタリカのCOVID-19感染状況。4月中旬には患者数が頭打ちになり、現在は半減している
なぜ、コスタリカはCOVID-19を抑え込めているのだろうか。
まず、コスタリカにおけるCOVID-19の拡大状況を見てみよう。最初に、
この国の総人口は約500万人であり、福岡県と同程度であることを頭に入れておいていただきたい。
コスタリカで
最初に感染者が確認されたのは、3月6日だった。そこから10日間ほどは、毎日1ケタ台の新規陽性確認者が出ていた。
3月18日には、新規陽性確認者数が一気に19人と、それまでの倍以上に増えた。ここから、毎日20~30人ほど、新規感染者の数が積み上がっていくことになる。
新規感染者数のピークは4月9日で、37人にまで達した。この3月下旬から4月上旬が、指数関数的に患者数が増えていくかどうかの分かれ目だった。
ところが、それからわずか10日足らずで新規感染者は現象に転じ、4月18日からは、ほぼ1ケタをキープしている。5月2日には、陽性反応続行中の人の数が回復者の累積数を下回った。つまり、
感染のピークからわずか1か月で患者数を半減させたのだ。
当初、回復者はなかなか出てこなかった。初めての回復者が出たのは4月に入ってからだった。だが、その間新規感染者数を抑えこんだことにより、徐々に回復者数が増えていき、その数は1日あたり15人〜20人前後で推移するようになる。
ついに5月2日には、陽性から陰性に転じた回復者の数が、まだ陽性反応が残る「アクティブケース」の数を上回った。(全陽性確認者数733人、そのうち回復者が372人、死亡6人で、アクティブケースが355人)
現地時間5月13日時点で、アクティブケースは281人。最盛時(564人、4/16)の半分を切った。つまり、患者数がピークから半減するところまで到達したということだ。
最初の感染者が確認されてから、わずか2か月のできごとである。