コロナ禍のステイホームで夫によるモラハラ被害も激増! モラ男ではない「健全」な男性はいるのか?<モラ夫バスターな日々47>

「母の犠牲の上に自分がある」という意識が、モラ夫化を防いだ

 Iさんは議員3人の少数会派で、政治的主張もリベラル。LGBTや外国人の権利保護が政治信条でもある。妻をディスるなどが無い(あり得ない)だけでなく、言動に妻へのリスペクトが滲み出る。妻も「夫の『男女平等』は、日頃の言動を伴うホンモノ」と手放しで絶賛する。しかしIさんも、他の日本男性同様、モラ文化の中で育ったはずだ。  その点を問い質すと、Iさんは、「(私の)母は、4年制大学に合格したが、『女だから』行けなかった。キャリアを積みたい気持ちもあったが、私を育てるため自らを犠牲にした」「妻には夢を追求して、社会的に活躍してほしいと心から願っている」と述懐した。    Iさん自身、青年海外協力隊で海外に赴き、現地で厳しい女性差別を見てきたことも、彼の人生観に強く影響したそうだ。幼少の頃の母への想いやその後の人生経験が、彼を健全男子にしたのだろう。

いずれ「コロナ離婚」が爆発する

 モラ夫は、意識していようが、していまいが、男尊女卑、家長制度的な価値観が超自我(自我を道徳的に指導する精神機能)に組み込まれていることによりモラ夫となる。  したがって、妻/女性に対する支配/モラを「悪い」とは思わない。モラ夫が自らのモラを反省し、自己の価値観を修正することは全く期待できない。Iさんのように、母、妻、そして女性一般に対する愛情と敬意をもち、男女平等に生きる健全男子はまだまだ少数派である。  経験上も、モラ夫は、たとい自ら「強く言い過ぎた」などと反省することはあるとしても、自らのモラ体質を改めることは、まずあり得ない。したがって、コロナ禍、ステイホームによりモラスイッチが入り、あるいはモラのシフトアップがあれば、元には戻らない。モラのない瞬間はあり得ても、モラ体質は改まらない。  コロナが収束し、あるいは、コロナ後の生活に慣れてくると、妻たちは、コロナ・モラが元に戻らないことに気が付くはずだ。  いずれ、コロナ離婚が爆発する。 <文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
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