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コロナショックで、高金利通貨のスワップ金利を狙ったトレーダーは青息吐息……。だが、スワップとデイトレの二刀流で稼ぎ続ける猛者がいた! ジラフ流トレード術を大公開!!
「金融不安は繰り返し起こるもの。いずれ来るだろうとは思っていましたが、まさかこれほど大きなショックになるとは……」
そう振り返るのは高金利通貨メキシコペソのトレードで着実に資産を増やしてきた兼業投資家のジラフ氏だ。新型コロナショックは高金利の新興国通貨にも波及。ペソやトルコリラ、南アフリカランドは史上最安値を更新している。だが、ジラフ氏はこのコロナ相場でも稼ぎ続けているという。
「ずっとペソのロング(買い)ポジションを持っていましたが、3月上旬にペソが対円で節目の5円を割ったところですべて損切りしました。でも、’18年9月に800万円で運用を始めてから1年半の損益は603万円のプラスです」
損切りしたはずなのに利益が出ているのはなぜか?
「ペソの運用は2つに分けています。1つがスワップ金利狙いの『コア』ポジション。最大で650万ペソ(3000万円以上)まで買い増したので、コアのスワップ収入だけで月20万円ありました」
この新型コロナ騒動を受け、メキシコ当局は3月に緊急利下げを行ったものの、いまだ同国の政策金利は6.5%という高さ。ペソ/円を1万通貨買うと一日8円ほどのスワップがもらえる状態だ。
が、コロナショックでペソ/円は30%も大暴落。スワップ収入以上の大損失となったはずだが……。
「コアポジションだけだとそうなったでしょう。しかし、私の場合はコアに加えて、デイトレードやスウィングトレードを行う『サテライト』ポジションも持ちます。下落局面では売りでエントリーしたり、あるいは買いを減らして底で買い増したりと柔軟に取引していたため、トータルで利益を出すことができたのです」
メキシコペソ投資家たちが悲嘆に暮れる中、ジラフ氏が600万円の利益を叩き出したのは独自の「コア・サテライト戦略」が奏功したからだ。「コア7割」に対して、「サテライト3割」の比率で資金を運用することで、下げ相場でもリターンを狙っていくという。
「スワップ狙いの長期保有ポジションはなるべく低いレートで買いたい。その目安は過去1年の平均レートです。それより上で買ったペソ/円は“不利”なポジションなので、コアから短期売買用のサテライトへと移行する。そのうえで、含み益が出たら利確、サポートを割ったら損切りして、7対3の比率を維持するんです」
このルールに則ると、下げトレンドが続けばコアポジションが減り続けて、もらえるスワップが激減する可能性もある。そのため、コアの買い増しが重要になる。
「買い増しのタイミングは、『メキシコと関係のない要因でペソが連れ安したとき』。メキシコ固有の売り材料がないのならば、反発する可能性が高いからです。昨年でいえば米中貿易摩擦によるリスクオフ相場でペソが連れ安したときに積極的に買っていきました」
では、コロナ相場では買い増しをせず、損切りした理由とは?
「暴落の発端が大幅な原油安だったからです。メキシコは産油国であり原油価格とペソは連動しやすい。原油相場が不透明だったため、全ポジションを手仕舞いました」