“不要不急”の検察庁法改正が、安倍官邸と黒川氏には“必要至急”のワケ

“動かぬ証拠”は河井前法務大臣の指示メール

 私は検察幹部に尋ねた。 ――どうして、そこまで断言できるんですか? 「それはさあ、“動かぬ証拠”があるからよ」  実は、河井克行・前法務大臣が今回の買収について、秘書たちに詳細に指示したメールがあるのだという。 「あんなものがあったら、もう言い逃れできないでしょ。メールはすべて克行から出ている。案里は何もわかってないんじゃないかな? 『籠池夫妻の妻と同じ』と言えばわかるでしょ」 「それがわかっているなら、籠池泰典さんの妻・諄子さんを起訴しちゃダメじゃないですか!」と言いたいところではあるが、今はその取材ではないのでぐっとこらえて……。

森本宏・東京地検特捜部長は「議員の逮捕」のために待機!?

 私はさらに質問を続けた。 ――連休中に夫妻を事情聴取していますね。 「ああ、東京地検特捜部の検事がね。国会議員を逮捕するとなったら広島に任せておけないでしょ。国会会期中で逮捕許諾請求も必要だしね。東京地検特捜部の出番だよ。森本(森本宏・東京地検特捜部長)が動いていない(異動していない)でしょ?  もう2年以上たつから、本来ならとっくにどこかの検事正に動いてなきゃいけない。同期どころか1期下まで検事正になっているからね。それが特捜部長に残っているのは『議員の事件をやるならこいつしかいない』と見込まれているからだよ。コロナが一段落したら許諾請求。ここで森法務大臣が指揮権発動したら、それこそ内閣が倒れるだろう」

安倍官邸は黒川氏の定年延長で、検察の“虎の尾を踏んだ”

――そこまでやるんですね。 「安倍官邸は黒川さんの定年延長で“虎の尾を踏んだ”んだよ。稲田総長は当初は就任2年で7月に辞めて、その後に林さん(林真琴 名古屋高検検事長)が就任という流れを考えていた。林さんは7月末で定年を迎えるけど、検事総長になれば定年が2年延びるからね。  でも、その構想を覆されて稲田さんもブチ切れたんだよ。総長が2年で辞めるというのは慣例であって、稲田さんは65歳の定年まであと1年ある。本人が『辞める』と言わなければ定年まで辞めさせる手立てはない。  黒川さんは半年延長しても8月には退職だから、稲田さんが辞めなかったら結局総長にはなれないからね。さすがに2度の定年延長はできないでしょ? 稲田さんはそれを考えているよ」
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安倍官邸と黒川氏が焦る理由
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