都市封鎖から出社OKになった中国の生活とは? 中国ビジネスのプロが語る北京最新事情

 中国の中部に位置する都市である武漢が発生源となった新型コロナウイルスは、世界各国を緊急事態に陥れ、日本においても終息の目途が立たない。中国の最新で実際の状況はどうなのか。今回は、商社北京駐在を経て、現在では中国語教育と中国進出支援を行うジェイス株式会社代表取締役の原口有氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫ります。

部屋から一歩でも外に出れば通報

ジェイス株式会社代表取締役・原口有氏

ジェイス株式会社代表取締役・原口有氏

山口博氏(以下、山口):「原口さんは、2004年にジェイス株式会社を設立され、以来、北京に在住し、中国語教育や中国進出支援に取り組んでいらっしゃいます」 原口有氏(以下、原口):「1989年に当時勤務していたニチメン株式会社(現、双日株式会社)から北京師範大学に語学留学に出て以来、中国ビジネスにどっぷりとつかっています。商社マンとしては6年北京に駐在してエネルギービジネスに取り組み、起業してからは早16年になりますが、語学教育、企業研修などを行っています」 山口:「日本の読者は、新型コロナウイルス感染状況について、発生地となった中国の状況はどうなのか、大いに関心を持っていると思います」 原口:「武漢封鎖の一報は香港で聞いたのですが、慌てて北京に戻ったところ、住まいの団地は厳戒態勢となっていまして街も緊張感に包まれていました。中国人はもともと感染病に敏感ですので、当時はこの一報で中国人民は一斉に凍りついた という印象ですね」 山口:「原口さんは、日頃から中国と日本を行き来していますが、移動の制約などあったのではないでしょうか」 原口:「2月下旬から厳しい隔離政策が導入されました。 その後、所用で日本に行かざるを得ず、一週間日本に滞在したあと、北京に戻りましたが、その後、2週間の自宅隔離となりました。  隔離されると一歩もアパートの部屋から出ることができません。但し、必要な物資はネットで注文すると2~3時間で持ってきてくれる宅配サービスがあり、これは助かりました。団地の入り口まで配達してくれ、そこから部屋までは団地の管理者が運んでくれます。また、この状態に同情してくれた友人たちが食料を送ってくれたりして、充実した食生活となりました。  また、隔離されると監視対象者であることを示すポスターが玄関に貼り出されます。出歩いていた場合の通報先の電話番号まで記されているのです。何しろ、新型コロナウイルスを保有しているかもしれない人物として見られていたわけですので。  その後、様子見をしていた外国人が続々と北京に戻ってくるですが、そのうち帰国を制限するようになり、今は実質的には外国人の入国は禁止されています」
監視対象者であることを示すポスター

監視対象者であることを示すポスター

オフィスに入るには自動体温測定が必須

山口:「隔離が解けたあとは、どのような生活をされているのですか」 原口:「私が隔離中に、私の会社の北京法人は、事務所でのワークを再開しましたので、隔離中は毎日リモートワークで社員に指示を出していました。社員も不安のなか出社しているはずで、その点はとても気を使いました。  事務所に出社し、社員たちと無事な様子を確認できたときはほっとしました。この時点で既に中国政府は経済再開の方向にかじを切っており、安全を確認したうえで、可能な状況の企業、社員は出社してよいと通達が出ていましたので、混乱はありませんでした」 山口:「通常勤務に戻っているのですね」 原口:「ただし、事務所棟のエリアに入るには厳重なチェックがあり、全員が体温検査を行い、入居証を提示する必要がありました。入居証を持っていない人は入れません。その後、4月30日の規制緩和以降、体温検査と健康宝というアプリで健康を証明できる人は入場が可能となりました。日本にはこういうアプリがないでしょう。IT大国で上意下達の国だから、短期間でこういう仕組みが作れたのでしょう」
体温チェックの様子

体温チェックの様子

山口:「既に平常に戻っているのですね。発生前と比べて、生活の仕方に変わったことがありましたか。日本では、緊急事態宣言が解除されたとしても、外出禁止、在宅勤務、リモート会議の状況は変わらないのではないかという見方もありますが」 原口:「4月30日からこの規制が緩和され、地方に足止めされていた人々も、日本のメーデーにあたる労働節休み期間に多くの人が戻ってくるとともに、クローズされていたレストランなどが再開しています。  隔離政策で中国は人の移動を極力減らしていたのです。隔離がなくなった今、北京には地方から戻る人たちがどんどん入ってきています。これが第2波につながるのではないかと戦々恐々としているわけです。  私は節度を守って、外食をするようになりましたが、そのように外出する様子をSNSなどで流すと中国人友人が『そんなことをしていると必ず、感染してしまいますよ』とご注意のコメントを受けるほどで、中国人の保守的な一面を知ることができます。  弊社は100名ほどの中国語講師を使ってオンラインスクールを展開している会社ですが、中国各地の自宅からオンラインでレッスンを行う講師は、まだとても怖がっています。『国がもうそろそろ大丈夫と言っているのだから、もう安心』というわけにはいかないようです」
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日本の報道とは違う中国国民の姿
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