jessie / PIXTA(ピクスタ)
こんにちは。微表情研究家の清水建二です。新型コロナウィルスに伴う緊急事態宣言前後から不要不急の外出自粛ということで、2ヶ月ほどテレワークライフを過ごしています。テレワークになり働き方に様々な変化が起きています。中でもオンライン会議やオンラインでの研修が増えたことは、コミュニケーション上、興味深いと感じます。
特に、Microsoft TeamsやZoomは、これまでのテレビ会議システムより使い勝手がよく、画面共有やチャット機能があり、ファイルのやり取りが簡単に出来ることで、自分の伝えたいことを様々なチャンネルを通じて行うことが出来ます。
パワーポイント画面を共有し、パワーポイントの説明で補足したいことがあれば、関連URLのリンクをチャットに貼り、追加資料を添付することで、出席メンバー内で情報を瞬時に共有することが出来ます。もちろんマイクはオンですが、カメラもオンにすれば、表情を使ってより躍動感をつけて自身の伝えたいことを伝えることが出来るでしょう。
こうした様々なチャンネルを通じて、オフラインにも勝るとも劣らないコミュニケーションが出来ます。しかし、重要なのは、本当に相手に伝わっているか、という視点です。
それを確かめる一つのチャンネルが、相手の表情です。どんなに発信のためのツールが豊富でも、受信側がそれを受け止めてくれなければ、伝わりません。相手のカメラがオンになっていれば、相手の表情を観ることで、そのまま話を続けてよいのか、詳細な説明を加えた方がよいのか、相手に質問を促した方がよいのか、などがわかるでしょう。
そこで、発信側の機能だけでなく、受信側の理解度を自動的に見える化する機能もあれば、より便利だと思います。下記の動画は、2人の人物にある説明を聞いてもらっている場面です。感情認識AI「心sensor(※1)」を使って表情分析してみました。40秒ほどの動画です。ご覧ください(※2)。
説明が伝わっていないのは、どちらの人物だと思いますか?
正解は、向かって左側の人物です(右の人物も少し熟考していますが)。右上のグラフを見ていると、青と赤のグラフが徐々に生じてくるのがわかります。青は目を細くする、赤は眉を下げる、という表情の動きに反応しています。どちらも熟考中を意味します。左側の人物は、説明を聞きながら、「う~む」と考え込んでしまっているのです。
熟考表情は「考えたい」という思いの現れですから、適切なコミュニケーションのアプローチは、「丁寧な説明をする」「補足説明をする」「間を空ける」「ゆっくり話す」「質問を促す」などになります。
つまり、相手の熟考に対しては、現在進行中の説明の「足踏み」が必要なのです。説明や議論を進めてはいけません。一方、眉を上げる動きで現わされる驚き・興味・関心表情は「知りたい」という思いの現れですから、現在進行中の説明を広げる、「展開」していくアプローチが適切になります。